Windowsでも使える「Hyper-V」で可能な5つの仮想化シーン:Hyper-Vの基本と仮想化のメリット【後編】
Microsoftのハイパーバイザー「Hyper-V」は、クライアントOSのWindowsでも利用できる。Hyper-Vを活用することで何ができるようになるのか。Hyper-Vの具体的な活用場面とメリットを5つ紹介する。
仮想化技術の導入は、ITインフラの柔軟性と効率性を高める上で欠かせない存在となっている。仮想化ソフトウェアの一つであるMicrosoftの「Hyper-V」は、通常はサーバ仮想化に使われているが、MicrosoftのクライアントOS「Windows」で利用することもできる。Hyper-Vを使うことで何が可能になるのか。Hyper-Vの代表的な活用方法と利点を5つの視点で紹介する。
5つの視点で考える「Hyper-V」の活用方法とメリット
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Hyper-Vは「Windows 11」のPro、Enterprise、Educationの各エディションで利用可能だ。Windows 11でHyper-Vを利用する際は、以下の手順で機能を有効化する。
- コントロールパネルで「プログラム」「プログラムと機能」の順に選択。
- 「Windowsの機能の有効化または無効化」を選択し、「Hyper-V」にチェックを入れて「OK」をクリックする。再起動を求められた場合はPCを再起動する。
- Hyper-Vが有効化された後は、「Hyper-Vマネージャー」を開いて仮想マシン(VM)の作成を開始できるようになる。
Hyper-Vを使うことで何ができるようになるのか。ここでは、代表的な6つの活用シーンをまとめた。
1.テスト環境および開発環境の構築
Hyper-Vが最も使われる用途の一つが、ソフトウェア開発者向けの隔離されたテスト環境の構築だ。開発、検証用のVMを使えば、本番環境に影響を与えることなく、アプリケーションやOSアップデートの動作を検証できる。Hyper-Vでは複数の異なるOSを同時に実行できるため、クロスプラットフォームでの互換性のテストにも適している。
2.安全かつ隔離された環境の実現
本来、全てのデバイスが最新かつサポート対象のOSを搭載していることが望ましい。しかし実際には、最新のOSでは動作しないレガシーアプリケーションを利用するケースも少なくない。Hyper-Vを使えば、こうしたレガシーアプリケーションをVM内で実行し、ホストOSや他のシステムに影響を与えることなく管理できる。Hyper-Vはレガシーアプリケーションの移行期における安全策としても活用可能だ。
3.VDIによるテレワーク対応
Hyper-Vを仮想化基盤として活用すれば、IT管理者は従業員がどこからでも業務環境にアクセスするための仮想デスクトップを提供できる。仮想デスクトップはテレワークの業務環境の安全性を保つために有効な仕組みだ。データは従業員のPCではなく仮想デスクトップをホストするサーバに集約されるため、情報漏えいリスクの低減につながる。
4.サーバ統合とコスト削減
ITインフラの構築と維持には多大な費用がかかる傾向がある。Hyper-Vを活用することで、1台の物理マシン上に複数の仮想サーバや仮想デスクトップを集約し、ハードウェアの台数と未使用リソースを削減できる。これにより、コスト抑制が可能になる。
5.災害復旧(DR)と事業継続性の強化
Hyper-VのDR機能を活用すれば、本番環境のダウンタイム(停止時間)の低減が可能になり、事業継続計画(BCP)の強化につながる。スナップショットやフェイルオーバー機能を活用することで、RTO(復旧時間目標)およびRPO(目標復旧時点)の短縮が可能になる。
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