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Aristaが「VeloCloud SD-WAN」を買収 その“真の狙い”とBroadcomの思惑SASE、AI、クラウドで加速する選別の構図

ネットワーク機器ベンダーArista Networksが仮想化ベンダーVMwareのSD-WAN製品の買収を発表した。これはネットワーク業界の近年のトレンドを象徴するものだ。VMwareを所有するBroadcomの狙いと併せて解説する。

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 2025年7月1日(現地時間)、ネットワーク機器ベンダーArista Networksは、半導体ベンダーBroadcomから、VMwareのSD-WAN(ソフトウェア定義WAN)製品「VeloCloud SD-WAN」を買収し、Arista Networksの製品ポートフォリオに組み込んだと発表した。今回の買収に関して、Arista Networksにはどのような狙いがあるのか。そしてVeloCloud SD-WANを手放したBroadcomの思惑とは何か。

Arista Networksの狙いは?

 米Informa TechTarget傘下の調査部門Enterprise Strategy Group(ESG) のアナリスト、ジム・フレイ氏は、買収の狙いについて次のように語る。「Arista Networksの製品ポートフォリオにはSD-WANに特化した製品が不足していた。今回の買収によってこの穴を埋めることができる。ネットワーク市場は成熟している。製品とサービスをより充実させ、競争力を維持するのが狙いだ」

 「買収は戦略として正しい。必要な技術を取り込み、より包括的な製品とサービスを提供できるようになるだろう。顧客企業のニーズにより応えられるようになる」。フレイ氏はそう評価する。

 コンサルティング企業Enterprise Management Associates(EMA)のアナリスト、シャマス・マクギリカディ氏もこれに同意する。しかし、マクギリカディ氏は、「ワンストップのネットワーク製品ベンダーを目指しているのは分かるが、競合他社と比べると、やや出遅れた」とも指摘した。

 マギリカディ氏によると、ネットワーク市場ではセキュリティを組み込む流れが進んでいる。「Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Cisco Systems、Extreme Networksなど、ライバルとなるネットワーク機器ベンダーは、『ZTNA』(ゼロトラストネットワークアクセス)機能や『SASE』(Secure Access Service Edge)機能をすでに自社製品に組み込み済みだ。ZscalerやPalo Alto Networksなどのセキュリティベンダーも、こうした機能を実装した製品を提供している」

 「SASEの基盤となるのは、クラウドベースのセキュリティだが、Arista Networksはこの分野での実績が少ない。まだうわさは聞かないが、おそらく、この分野に長けた企業とさらに提携を進めるか、もしくは追加で買収すると予想する」(マクギリカディ氏)

隠れた狙い

 Arista Networksの狙いを読み解く上で、興味深いポイントがある。買収についてのプレスリリースで、同社は人工知能(AI)がネットワーク市場に与える影響を強調しているが、これは今回の買収とは直接関係がないのだ。この点、専門家は、Arista Networksがエッジ(データの発生源であるデバイスの近く)におけるAIアプリケーション実行のサポートに向けた準備を進めている証拠だと推測する。

 「AIを導入すれば、WAN(ワイドエリアネットワーク)全体でインテリジェントなトラフィック最適化とパフォーマンス最適化を実現できる。SD-WAN製品の取り込みは、このための布石と見る」。フレイ氏はそう語る。

 米Informa TechTarget傘下の調査部門OmdiaでテルコB2Bストラテジー&ソリューショングループでプラクティスリーダーを務めるシンディ・ウィーラン氏はこの意見に同意して次のように語る。「Arista Networksが買収したVeloCloud SD-WANにはネットワークアーキテクチャ『VeloRAIN』(Velo Robust AI Networking)が組み込まれている。VeloRAINは、ルーティング最適化などにAIや機械学習を活用できる仕組みだ。AIを自社製品に組み込むという目標に合致した戦略だと言える」

Broadcomの思惑

 この取引はBroadcomにとってもメリットがある。マギリカディ氏は「BroadcomがVeloCloud SD-WANを手放したのは完全に戦略的な判断だ。もし製品の競争力を維持したければ、それ相応の投資が必要になるが、すでにBroadcomはネットワーク分野ではなく、プライベートクラウド構築用製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)に注力している」と解説する。

 VMwareは2017年にVeloCloud Networksを買収し、エッジコンピューティングなどの用途向けに同社のSD-WAN製品群をネットワーク仮想化ソフトウェア「VMware NSX」のコンポーネントとして組み込んだ。その後2023年に、VMwareは610億ドルでBroadcomに買収された。

 「VMwareがVeloCloud Networksを買収した当初、VMware NSXを中心に機能を拡充していく計画だった。しかし今や、VMware NSXはVCFの中の一つの機能に過ぎない。もはやBroadcomはネットワーク機能を必要としていない。フルスタックのクラウドインフラとしてVCFを全面的に押し出す戦略を採用している」(マクギリカディ氏)

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翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(株式会社リーフレイン)

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