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99.999%の信頼を実現する「6G」試験が始動 止まらないコネクテッド社会へコネクテッドカーの試験施設が誕生

スウェーデンの交通試験施設が、「6G」と「エッジコンピューティング」を統合した新しい試験環境を公開した。99.999%という驚異的な通信の信頼性を実現し、コネクテッドカーの安全性を新たな次元に引き上げる。

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 常時ネットワークに接続し、さまざまなデータをリアルタイムで活用する自動車技術「コネクテッドカー」が急速に普及している。その最新動向の一つとして、2025年5月28日(現地時間)、スウェーデン国立研究所(Research Institutes of Sweden:以下、RISE)は、運営する交通試験施設「AstaZero」内に、コネクテッドカーの開発とテストに使用する新しい試験環境を公開した。

 この試験環境は、さまざまな電波が飛び交う環境での通信状況をテストする電磁チャンバーや、車両と通信システム全体のテストに繰り返し使用できる広大な試験場などを備えている。最大の特長として、「6G」(第6世代移動通信システム)と「エッジコンピューティング」(発生源の近くでデータを処理する技術)を組み合わせ、無線通信の信頼性(可用性)を“99.999%”にまで高めることに成功したという。今後どのような成果が期待できるのか。

なぜ“99.999%の信頼性”が必要なのか?

 近年販売されるほぼ全ての乗用車、トラック、バスには、路面状況や交通状況など、さまざまな情報をリアルタイムで取得するために、多数のセンサーが搭載されている。これにより、自動ブレーキや車線維持、カーナビゲーションなど、ドライバーをサポートするさまざまな機能が利用できる。これらの機能をさらに一歩進め、通信ネットワークに常時接続し、さまざまな情報をリアルタイムで取得し、活用するのがコネクテッドカーの目的だ。

 RISEは、新しい試験環境を構築した理由として、コネクテッドカーの安全性と信頼性の向上を挙げた。EU(欧州連合)圏内では、自動車が関与する交通事故による死亡者数が全体として横ばい傾向にあるという。事故を減らすために自動車メーカーが技術革新に注力する中で、製品を市場投入するためには、実際に車両を走らせて、搭載する新技術を限界までテストする必要がある。特に、人命に関わるミッションクリティカルな自動車分野においては、通信の切断を極限まで削減することが不可欠だ。RISEによると、新しい試験環境は、効果的なテストのために、車両とそれを支えるインフラとの間の通信品質の向上と遅延の低減を目指し、信頼性“99.999%”を実現したという。

 もう一つの理由が通信技術の世代交代だ。RISEは自動車メーカーが市場競争を勝ち抜くためには、「3G」(第3世代移動通信システム)のモバイルネットワークが世界的に廃止されていく中で、代替となる、AI(人工知能)を活用した先進的な通信システムの構築が必要だと指摘する。具体的には、車両とさまざまな対象が相互に通信する次世代型通信技術「V2X」(Vehicle to X)の実現を挙げた。V2Xが普及すれば、AIを搭載した最新の車両と従来の車両の両方がエッジ環境で相互に連携できるようになると期待されている。

見込まれる成果

 コネクテッドカーにおいては、個々のセンサー単位でのテストだけでなく、通信システム全体でのテストが必要だが、これまでは実現が難しかった。今回新設された試験環境では、高い通信の信頼性を生かし、テスト時に拡張現実(AR)を使用して仮想的に物体や状況を設定し、シミュレーションできる。自動運転車や産業オートメーション、高度に自動化された安全な交通システムといった、さまざまなモノや人が通信によってつながる“コネクテッド社会”の実現に向けた技術進歩が期待される。

 さらにRISEは、この試験環境を活用して、車両とインフラのシームレスな通信を可能にするインテリジェントなネットワークを実現し、次のようなメリットが得られると指摘する。

  • 交通の流れの最適化
  • 渋滞の緩和
  • 温室効果ガス排出量の最小化
  • 都市のモビリティー(移動のしやすさ)の向上

 複雑な交通シナリオのテスト時には、オーケストレーションツールを使用して、自動運転車、バイク、自転車、歩行者、信号などの物理インフラといった、さまざまなオブジェクトの正確な位置情報や制御信号を含むデータをまとめて管理できる。ドローンを飛ばすこともでき、これまでは難しかった、都市環境などさまざまな交通シナリオのテストも可能だ。

 「将来的にコネクテッドカーは、車載センサーだけでなく、物理インフラに設置されたセンサーや、他の車両のセンサーからの情報を複合的に組み合わせて活用するようになるだろう」と、RISEのCEOを務めるペッター・ヤネビック氏は予測する。

 「未来の交通システムでは、高い信頼性、超高速通信、AIを活用したインテリジェントな意思決定という3つのネットワーク要件を満たす必要がある。実現のためには、国際的に標準化したテストアプローチが必要だ。AstaZeroのような高い信頼性を備えた通信システム内でテストすれば、最高レベルの安全性が実現できる」(ヤネビック氏)

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翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(株式会社リーフレイン)

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