中小企業に広がる「サブスク経営」 30代社長は積極派、50代社長は慎重派:86%が改善を実感
動画の配信サービスから、食品の定期配送まで、サブスクリプション型のサービスが定着した。中小企業のビジネスにもそのビジネスモデルは広がりつつある。
価格比較サイト「Uswitch.com」を運営するUswitchは、英国の中小企業経営者1000人を対象に、サブスクリプション型ビジネスに関する調査を実施した。調査結果によると46%の企業が、すでに何らかのサブスクリプション型のサービスをビジネスとして展開していることが明らかになった。22%が、事業収益の21〜30%をサブスクリプションモデルから得ていると回答した。
中小企業に広がるサブスク経営 世代間ではギャップも
サブスクリプションモデルのメリットはキャッシュフローの安定化にある。単発の売り上げではなく、定期的な収益が見込めるからだ。調査では、サブスクリプション型のビジネスに移行した理由として、86%の経営者がキャッシュフローの改善を挙げた。
興味深いことに、若手の経営者ほどこの点を理解している傾向が見られた。「サブスクリプションモデルがキャッシュフロー管理の改善に役立つと思いますか」という質問に対して、18〜34歳の経営者では94%が「そう思う」と回答した。55歳以上の経営者では70%とやや減少した。
この傾向は経営者自身の経験に由来する可能性がある。若い経営者の55%がすでに何らかのサブスクリプション型のサービスや製品を利用していると回答したのに対し、55歳以上の経営者ではわずか22%にとどまった。若年層の経営者ほどサブスクリプション型のサービスになじみがあり、サブスクリプション型ビジネスの導入に対してハードルが低いことが分かる。
サブスクリプションモデルには別のメリットもある。調査では、48%の経営者が顧客維持率の向上を挙げ、43%が収益の予測が立てやすくなる点を挙げた。これは、長期的なビジネスプランニングの改善につながる。
Uswitchのファイナンシャルエキスパートであるアンディ・エルダー氏は、中小企業に対し、サブスクリプション型のビジネスモデルを取り入れるべきだと助言する。
「大手IT企業しかサブスクリプション型のビジネスを展開できないという思い込みは誤りだ。小売りやコンサルティング、サービスといった業種の中小企業も、すでに導入している。多くの中小企業にとって、キャッシュフローの安定化は最も困難な課題の一つで、特に売り掛けの場合、回収が遅れることもある。サブスクリプションビジネスに移行すれば、予測可能な収入源を確保し、キャッシュフローを安定させられる。資金計画が立ちやすくなり、融資への依存や、資金繰りに行き詰まるといった事態を回避できる」(エルダー氏)
課題と対策
しかしサブスクリプションモデルにも、中小企業に導入をためらわさせる特有の課題が存在する。Uswitchの調査では以下のような課題が明らかになった。
- 既存の価格体系の変更の難しさ
- 投資に対するリターンの不確実性
- 請求方法の複雑化と、必要な技術の不足
- 自社のビジネスがサブスクリプションモデルに不適合
このように、どのようなサービスをサブスクリプションモデルで提供するか、既存のシステムで継続的に管理できるかどうかといった懸念が、多くの中小企業が導入を躊躇(ちゅうちょ)する要因となっている。
Uswitchは、サブスクリプション型のビジネスを展開したいと考えている中小企業の経営者に以下のようなアドバイスをしている。
- メンテナンス作業など、顧客との定期的なコンタクトを必要とする自社のサービスを特定する
- サービスポートフォリオの一つの選択肢として小規模で開始し、既存顧客の関心を見極める
- デジタルツールを導入して、定期的な支払いを自動化し、更新や解約をスムーズに追跡できる管理システムを確立する
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(リーフレイン)
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