「仮想デスクトップ」「VDI」「仮想マシン」の“混同しがちな違い”を整理:間違えやすい仮想化の仕組み【後編】
「仮想デスクトップ」と「VDI」「仮想マシン」はいずれもITインフラの重要な用語であり、意味や用途が曖昧になりがちな言葉でもある。それそれぞれの基本と違いを押さえておこう。
仮想マシンと仮想デスクトップは、いずれも仮想化技術として密接に関連しているが、両者の目的や仕組みは異なる。その違いを前編「いまさら聞けない『仮想マシン』と『仮想デスクトップ』の“似て非なる”違い」で解説した。
混乱しやすい仮想化の用語としては、「仮想デスクトップ」と「VDI」(仮想デスクトップインフラ)もある。後編となる本稿は、VDIが仮想マシンや仮想デスクトップとどのように関連するのかを踏まえながら、仮想デスクトップとVDI、仮想マシンの仕組みの基本や、それぞれの違いを解説する。
仮想デスクトップ、仮想デスクトップインフラ、仮想マシンを理解する
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仮想デスクトップとVDIは密接に関連しているが、デスクトップ仮想化において両者が指す概念は異なる。
「仮想デスクトップ」とは
仮想デスクトップとは、デスクトップ(コンピュータの操作画面)を仮想的に提供する仕組みであり、エンドユーザーはデスクトップにリモートアクセスをして操作する。VDIによって構築されるデスクトップも仮想デスクトップに含まれる。
「VDI」とは
VDIとは、仮想デスクトップを提供する一つの形態であり、IT管理者はVDIによって、オンプレミスやプライベートクラウドの仮想デスクトップを管理できる。VDIは、仮想デスクトップの構築と管理にハイパーバイザーを用いる。これにより、IT管理者はデスクトップイメージ、リソース、セキュリティを集中管理できる。
具体的には、VDIは仮想デスクトップを提供するために使われるバックエンドの技術とインフラを指す。データセンターの仮想マシン上でデスクトップOSをホスティングする機能も、その一つだ。VDIにおいてエンドユーザーの作業は全て遠隔のサーバ側で実行され、その画面がエンドユーザーのデバイスに転送される。
「仮想マシン」とは
仮想マシンとは、物理サーバに構築された仮想的なコンピュータ環境のことを指す。基本的にはハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアを使って構築する。仮想マシンは、独立したOSやアプリケーションを動作させることができ、1台の物理サーバのように振る舞う。仮想マシンは仮想デスクトップの実行基盤であり、VDIを支える中核的な要素となる。
その他の仮想化デスクトップの仕組み
VDIでは、仮想デスクトップを提供するために、あらかじめサーバやネットワーク機器、仮想化ソフトウェアといったハードウェアおよびソフトウェアへの先行投資が必要になる。そのため導入コストは比較的高く、インフラの設計や構築にも専門的な知識が求められる。
とはいえ、VDIは仮想デスクトップを実現するための手段の一つに過ぎない。他にも以下のような手段がある。
- DaaS(Desktop as a Service)
- クラウドサービスのインフラで稼働する仮想デスクトップサービス。導入や運用の手間を抑えられる点が特徴。
- ローカル仮想マシン
- エンドユーザーのデバイスにインストールされた「Oracle VirtualBox」や「VMware Workstation」などの仮想化ソフトウェアを使って、エンドユーザーの端末側で仮想的なデスクトップを動作させる方式。
VDIの活用例
VDIは、仮想デスクトップを大規模かつ一元的に管理できることから、比較的大きな規模組織を含めて広く活用されている。一般的な企業の他にも、以下のような分野でVDIが活用されている。
- 医療現場
- 複数のデバイスから患者データへセキュアにアクセスできる環境を構築するためにVDIが使われている。
- 教育現場
- 生徒が自宅や校内など異なる場所から、自身のデバイスを使って同一設定の学習用デスクトップにアクセスできる仕組みとして活用されている。
- コールセンター
- オペレーターの業務デバイスを迅速に立ち上げたり、全員が同じ操作環境で対応できるようにするために使われている。VDIを活用することで、新規スタッフの追加や席替えといった業務環境の変更にも迅速に対処できるようになる。
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