Windows更新で「PCが突然フリーズする」原因とトラブル解消法“5選”:Windowsアップデートの障害と対策【前編】(1/2 ページ)
Windowsの更新がフリーズする原因はさまざまだ。更新が止まると、システムの安定性やセキュリティに影響が出かねない。すぐに試せる基本的な対処法5つを紹介する。
Microsoftが提供する更新管理機能「Windows Update」は、クライアントOS「Windows」に最新のバージョンや修正プログラム(パッチ)を適用するための重要な仕組みだ。この機能があることで、システムの安定性やセキュリティを保つための変更を迅速に施すことができる。
ただし、更新を管理するこの機能に不具合が生じると、PC全体の動作に悪影響が及び、システムが不安定になるリスクもある。その問題の解決には、経験豊富なIT担当者であっても、複雑で時間のかかる対応が求められる場合が多い。とはいえ、更新を怠れば、PCは各種の脆弱(ぜいじゃく)性を突いたサイバー攻撃の脅威にさらされることになる。
Windows Updateのトラブルシューティングを適切に実施するには、特定の手順に従い、問題を排除していくことが欠かせない。更新でトラブルが起きた際にまず実施すべき5つの対処法を押さえておこう。
Windows更新でフリーズ……どこから手を付けるべきか
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Windows Updateがフリーズする原因はさまざまで、トラブルシューティングが難航することも少なくない。経験豊富な管理者であっても、どこから手を付けるべきか判断に迷う場合がある。
以下に示すのは、Windows Updateの基本的なトラブルシューティング手順だ。ただし、組織の運用体制や利用環境によっては、手順の順序を柔軟に調整する必要がある。
1.インターネット接続の確認と再起動
まずは基本から確認しよう。対象のPCが安定したインターネット接続を確保できているかをチェックする。場合によっては、Windows Updateが適切な更新サーバにアクセスできているかも確認が必要だ。
インターネット接続に問題がなければ、PCを再起動する。これだけで一時的な不具合が解消され、更新処理が正常に完了するケースもある。必要に応じて、強制的な電源オフと再起動を実施する場合もある。再起動後は、改めてWindows Updateを実行してみよう。
なお、以下の各手順を試す際にも、再起動は有効な手段となることが多い。再起動はトラブルシューティングにおける基本中の基本だ。
2.Windows Updateトラブルシューティングツールの使用
「Windows 10」および「Windows 11」には、「Windows Updateトラブルシューティングツール」が標準搭載されている。このツールを使うことで、更新処理に関する問題の特定と自動修正が期待できる。
Windows 11でこのツールを起動するには、「設定」から「システム」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティングツール」と進み、「Windows Update」の項目で[実行する]を選択する。一度の実行で問題が解消しない場合は、再度の実行も有効だ。
なお、Microsoftはこの「Windows Updateトラブルシューティングツール」を将来的に廃止する方針を明らかにしている。すでに他のトラブルシューティングツールの一部は廃止され、新たなサポート手段である「ヘルプを表示(Get Help)」へと移行している。Windows Updateに関しても最終的に「ヘルプを表示」への統合が予定されている。
3.関連する更新問題の調査
より高度なトラブルシューティングに進む前に、事前の情報収集も欠かせない。インターネットで信頼性のある情報を調べることで、対応の方向性が明確になり、無駄な作業を避けられる可能性がある。
具体的には、Microsoftの公式サイトや技術フォーラムなどで、問題の原因となっている可能性のある更新プログラムに関連した既知の不具合や、同様の事象に直面したユーザーの報告がないかを確認しよう。
PCに表示されたエラーメッセージやエラーコードがある場合は、それらも含めて検索するのが有効だ。PCの製造元によるサポート情報や、仮想マシン(VM)上でWindowsを実行している場合は、使用しているハイパーバイザーのベンダー情報も確認しておきたい。
調査時には、次のようなシステム環境の情報も把握しておくと役立つ。%リスト
- Windowsのビルド番号(例:23H2、24H2など)
- システムアーキテクチャ(例:x64、Arm64など)
- ハイパーバイザーの種類(例:VMware、Parallels Desktopなど)
4.システムの詳細な調査
ここまでの手順を試しても問題が解決しない場合、PC本体に原因がある可能性がある。そのため、より詳細なシステム調査が必要だ。以下の各項目を一つずつ確認しよう。
- ディスク容量
- 更新プログラムのインストールに十分なストレージ容量が確保されているか。空き容量が不足していると、更新が途中で停止することがある。・システムリソース
- 他のアプリケーションがCPUやメモリを過剰に使用していないか。リソースの逼迫(ひっぱく)は、更新処理を妨げる原因となる。
- ハードウェアの状態
- ネットワークアダプターやストレージに物理的な問題が発生していないか。
- 周辺機器
- 不要なUSB機器や外部デバイスが接続されていないか。場合によっては影響を及ぼすことがある。
- ソフトウェアの競合
- 他のアプリケーションがWindows Updateの処理を妨げていないか。特にバックグラウンドで動作するユーティリティー系ソフトウェアに注意。
- セキュリティソフトウェア
- サードパーティー製のウイルス対策ソフトウェアなどが原因となることがある。一時的に無効化、あるいはアンインストールを検討する。
- ドライバとBIOS
- 各種デバイスドライバやBIOS(PCの基本的な制御ソフトウェア)が最新バージョンかを確認する。更新に失敗する原因になり得る。
- 日付と時刻
- Windowsのシステム日時設定が正しく同期されているか。認証やサーバ通信で不具合を起こすことがある。
- ライセンス認証
- Windowsが正しくライセンス認証(アクティベーション)されているか。
システムをより限定された環境で起動して問題の切り分けを実施する方法として、「クリーンブート」を試すのも有効だ。クリーンブートとは、最小限のドライバとスタートアッププログラムだけを有効にしてWindowsを起動する手法。システム復旧用の「セーフモード」に似ているが、より細かな制御ができる。
クリーンブートを実行するには、Microsoft以外のサービスや、起動時に読み込まれるプログラムを全て無効にする必要がある。これにより、バックグラウンドで実行されているソフトウェアが原因の不具合を特定しやすくなる。
5.システムツールの使用
Windows Updateの不具合を特定・解決する手段として、コマンドラインツールや内蔵のシステムツールを活用する方法も有効だ。以下に代表的なツールを紹介する。
- DISM(Deployment Image Servicing and Management:展開イメージのサービスと管理)
- システムファイルの修復やWindowsイメージの整合性チェックをするためのコマンドラインツール。特に、次に紹介するSFC(システムファイルチェッカー)と併用するケースが多い。Microsoftは以下のコマンドの使用を推奨している。
- dism /online /cleanup-image /restorehealth
- システムファイルの修復やWindowsイメージの整合性チェックをするためのコマンドラインツール。特に、次に紹介するSFC(システムファイルチェッカー)と併用するケースが多い。Microsoftは以下のコマンドの使用を推奨している。
- SFC(システムファイルチェッカー)
- システムファイルをスキャンし、破損または欠落したファイルを検出して復元するためのコマンドラインツール。SFCを実行する際、Microsoftは次のコマンドの使用を推奨している。
- sfc /scannow
- システムファイルをスキャンし、破損または欠落したファイルを検出して復元するためのコマンドラインツール。SFCを実行する際、Microsoftは次のコマンドの使用を推奨している。
- chkdsk(チェックディスク)
- ボリューム(論理ドライブ)のファイルシステムおよびメタデータに対して、論理的および物理的エラーをチェックするコマンドラインツール。自動修復を実行するには、以下のように「/f」オプションと対象ドライブを指定する必要がある。
- chkdsk /f C:
- ボリューム(論理ドライブ)のファイルシステムおよびメタデータに対して、論理的および物理的エラーをチェックするコマンドラインツール。自動修復を実行するには、以下のように「/f」オプションと対象ドライブを指定する必要がある。
- PC正常性チェック
- PCのシステムの正常性に関する情報を表示するWindowsアプリケーションツール。PCがWindowsのシステム要件を満たしているかどうかを確認できる。このツールを実行して、潜在的な問題の手がかりとなる情報を詳細に確認できる。
次回は、基本的な確認事項だけではトラブルが解消しない場合の対処法を紹介する。
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