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“バックアップ熱”が豪・NZで再燃 現地で人気のVeeam製品・サービスとは?Veeamが語るバックアップの現在地【後編】

オーストラリアおよびニュージーランド市場で、バックアップ投資が再び活発化しているとVeeam Softwareは説明する。こうした中で、同市場ではどのような製品・サービスが人気を集めているのか。

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 バックアップベンダーVeeam Softwareのユーザー企業数は世界で55万社を超え、そのうちの67%が、米経済誌Forbesの「Global 2000」に名を連ねる。Global 2000は売上高、利益、資産、時価総額の指標で、世界の主要上場企業2000社を評価したランキングだ。

 オーストラリアおよびニュージーランド(ANZ)市場でのVeeamのビジネスは好調だと、同社のANZ担当バイスプレジデントを務めるゲイリー・ミッチェル氏は説明する。「ANZ市場ではバックアップへの関心が再び高まっており、企業が必要な予算を確保している」(ミッチェル氏)

ANZ市場ではクラウドサービスへのニーズが拡大

 Veeamの製品・サービス群のうち、ANZ市場における利用拡大の点で特に成長しているのは、クラウドサービスだという。同社がBackup as a Service(BaaS)として提供する「Veeam Data Cloud」は、MicrosoftやSalesforceの主要クラウドサービスに加えて、次に説明するVeeamのバックアップ向けクラウドストレージサービス「Veeam Data Cloud Vault」のデータをバックアップできる。

 Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」をベースにしたVeeam Data Cloud Vaultは、一度書き込んだデータを変更しない「イミュータブルストレージ」を実現する。Veeamの代表的なバックアップ・リカバリー製品「Veeam Backup & Replication」と容易に連携。メインシステムのデータを保管するプライマリーストレージから、バックアップ・アーカイブ用途のセカンダリーストレージまで、さまざまなストレージのバックアップ先として使用できる。テープストレージの代替手段にもなり得る。

 ミッチェル氏によれば、Veeamがストレージを提供するのはVeeam Data Cloud Vaultが初めてだ。ANZ市場においてVeeam Data Cloud Vaultは、比較的小規模の企業を中心に導入が進む一方、大企業の中にも「次の更新サイクルでの導入を検討するところがある」と同氏は明かす。

 Veeamのデータ保護スイート「Veeam Data Platform」の次期版であるバージョン13は、検証したANZ市場の企業から「良好な反応を得ている」と、同社でアジア太平洋(APAC)地域および日本担当CTO(最高技術責任者)を務めるベン・ヤング氏は語る。企業が特に評価するのは、製品機能の導入を容易にするソフトウェアアプライアンスだという。ソフトウェアアプライアンスでは、必要最小限の機能に絞ったOS(JeOS:Just enough OS)を採用するといった工夫で、攻撃対象領域(アタックサーフェス)を縮小。バックアップデータのセキュリティ向上につなげている。

 ANZ市場においては、比較的規模の大きな企業の間では、Covewareのサービスが関心を集めているという。Covewareは、Veeamが2024年に買収したインシデントレスポンスベンダーだ。ミッチェル氏によると、同市場における同社ユーザー企業は、これまでは中堅・中小企業が中心だった。パートナーサービスの拡充など、製品・サービスの成熟度を高める取り組みによって、大企業からの関心も集め始めていると同氏は説明する。

バックアップのニーズは変化し、役割は拡大

 オンプレミスシステムからクラウドサービスへの移行が進む中、Veeamにとって保護対象のクラウドサービス拡大が重要になっている。ただしクラウドサービス向けの投資について、同社には「考慮すべき重要な点が2つある」とヤング氏は言う。1つ目は、投資のコストと労力に見合うほどの市場規模があるかどうか。2つ目は、保護対象としたいクラウドサービスそのものが、データの復元を許可するかどうかだ。同社はこうした考慮点を意識しつつ、現実のニーズを把握するために、今後もユーザー企業との対話を続ける方針だという。

 「バックアップシステムは、優れたデータ集約ツールだ」とヤング氏は述べる。AIツール向けのデータ連携プロトコル「MCP」(Model Context Protocol)で大規模言語モデル(LLM)にデータを提供することで、そのデータが広く利用できるようにする――。データに新しい価値を与える、こうした取り組みの可能性に同氏は注目。「バックアップは、単なる不測の事態に備える保険以上のものになれる」と強調する。

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