損保ジャパンのDXを支えるテスト自動化ツール、その効果とは:非エンジニアでもテストケースを作成
リリース速度と品質の両立は、システム開発での悩みの種だ。損保ジャパンは保険金支払いシステムの開発でこの課題に直面し、AIエージェント搭載のテスト自動化ツール「Autify Nexus」を導入した。その効果とは。
損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一環として保険金支払い関連システムの内製開発を進めている。その中で直面したのが、テスト業務の効率化だ。顧客ニーズの変化に素早く応えるため、短期間かつ高頻度でシステムをリリースすることが求められる一方、保険契約に直結するシステムとして、常に高い品質を維持する必要もある。従来のようにリリース直前にテストを集中させると、バグの発見が遅れがちになるという問題を抱えていた。
この課題を解決するため、損保ジャパンはソフトウェアのテストをAI(人工知能)技術で自動化するツール「Autify Nexus」の導入を決定した。開発の早い段階からテストを自動実行する仕組みを整えることで、品質を担保しつつ、開発者が本来注力すべき業務へ時間を創出することを目指している。
導入の決め手になった“便利機能”とは
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損保ジャパンがAutify Nexusを選んだ決め手の一つが、画面を操作するだけでテスト内容を作成できる手軽さと、その結果を専門的なテストコードとして出力し、エンジニアが後から編集を加えることができる拡張性だ。同社DX推進部開発推進グループ主任の平田 美由紀氏は、「プログラムを書く機会が多くないメンバーでも、直感的にテストシナリオを作成できるのはありがたい」とAutify Nexusを評価する。
今回の導入を通じて、損保ジャパンの開発チームでは、プログラミング経験の浅い担当者が作成したテストシナリオを基に、経験豊富なエンジニアがテストコードを編集して、より複雑なテストを作成できるようになる。試用段階では、テストの6、7割をAutify Nexusが出力したテストコードで実施でき、工数削減につながる手応えを得たという。
AIエージェントがテスト作成を支援する機能も導入の後押しとなった。平田氏は「画面操作の記録だけではうまくいかない場合でも、AIエージェントに指示を出すことでテストシナリオを作成できたことがあった」と語る。同氏は、担当者に不足している専門知識をAutify Nexusで補いながら、多様な人材が品質保証(QA)に関われる体制の構築に期待を寄せる。
今後は、2025年に新設されたQAチームが中心となって、Autify Nexusを全部門のプロジェクトに展開していく計画だ。将来的には、開発部門だけではなく、事業部門が担う最終確認テストの一部も自動化することを視野に入れており、会社全体の生産性向上を目指す。DX推進の取り組みを通じて開発効率を高め、新たな顧客価値の創造を加速させる考えだ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。