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分散DB「TiDB」も一元監視 カプコンが挑む共通基盤の可観測化APMとログ監視、Terraform自動化で安定稼働を実現

カプコンは、同社の人気ゲームを支えるバックエンドシステムにオブザーバビリティプラットフォーム「New Relic」を導入し、安定的な稼働と運用効率の向上を実現した。

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 New Relicは2025年10月21日、同社のオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォーム「New Relic」をカプコンが導入し、システムのパフォーマンスを可視化し、運用を効率化したことを発表した。

PingCAP「TiDB」との連携でデータベース監視を一元化

 カプコンは「バイオハザード」「モンスターハンター」などを展開するゲームメーカーだ。同社は、各ゲームタイトルが共通して利用する機能をまとめたバックエンドシステム「カプコン共通基盤」(以下、共通基盤)を開発し、2020年から運用している。共通基盤は「アカウント管理」「ゲーム利用者のプロフィール管理」「同意規約管理」「ゲーム内通貨、ダウンロードコンテンツ管理」「ID会員情報管理」の5つのシステムで構成される。

 多くのゲームで使われるため、共通基盤には、24時間365日の安定した稼働が求められる。安定稼働にはシステムの監視が欠かせないが、従来のカプコンの開発環境や負荷試験環境には監視の仕組み、つまりオブザーバビリティシステムが一部しか導入されていなかった。そこで同社は、ゲーム開発から本番運用までを含むシステム全体を総合的に監視する体制を整えるため、2020年4月にNew Relicの検証を開始し、同年7月に正式採用した。

 New Relicの導入によってアプリケーション、ミドルウェア、データベースといった複数のレイヤーを一元的に可視化できるようになり、異常を早期に検知し、迅速に対応することが可能になった。同社によると特に効果があったのは、New Relicのアプリケーションパフォーマンス管理(APM)ツールに搭載された「External Services」機能だ。この機能を活用することで、共通基盤と連携する外部サービスのパフォーマンスを明確に把握できるようになった。その結果、障害からの復旧時間を平均で1時間短縮する効果が得られたという。

 カプコンは、データベースのパフォーマンスや問題の可視化にもNew Relicを活用している。カプコンは2024年9月、共通基盤を構成する一部システムのデータベースをPingCAPが提供する分散型NewSQL「TiDB」に切り替えた。その後、同社は、開発や品質保証などの小規模なワークロード用にはTiDBのライト版「TiDB Cloud Starter」を、負荷試験や本番環境ではエンタープライズ版「TiDB Cloud Dedicated」を使い分けている。導入当初、TiDB Cloud StarterにはNew Relicとの連携機能がなかったが、APMに蓄積されるメトリクスを活用することで、New Relic上でもTiDBを監視できるようになった。

 さらに、New Relicプラットフォームのログ監視機能「New Relic Logs」を導入することで、複数の分析ツールを統合し、運用負荷とコストを最適化した。HashiCorpの構成管理ツール「Terraform」による監視設定の自動化を進めることで、設定ミスの削減と環境展開の効率化を図っている。

 カプコンの福井勝貴氏(CS制作統括CSシステム開発部)は、「New Relicの活用によって共通基盤の安定性は大きく向上した。今後はクラウドコストの可視化を進め、さらなる効率化を目指したい」と述べている。

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