検索
特集/連載

“脱VMware”をオープンソース技術で進めるときの課題とは「OpenStack」はVMware製品の代わりになるのか

VMware製品のライセンス体系や価格の変更が、ユーザー企業の“脱VMware”の関心を高めている。VMware製品で構築した仮想マシンをオープンソース技術で置き換える動きも進んでいるが、これには課題もある。

Share
Tweet
LINE
Hatena

関連キーワード

VMware | オープンソース | OpenStack


 OpenInfra Foundation(OpenInfra)が主催する「OpenInfra Summit Europe」が2025年10月にパリで開催された。OpenInfraはクラウドインフラ構築用ソフトウェア群「OpenStack」の開発と普及を推進する非営利団体で、同イベントにはオープンソースインフラの構築や運用に関わるIT担当者が参加した。

 VMware製品の移行は、このイベントの主要な話題の一つとなった。オープンソース技術を使う開発者たちは、自分たちの製品がどのようにしてVMwareで構築した仮想マシン(VM)をオープンソースの代替品に移行させられるかを示すために集まった。

オープンソースの仮想化技術に関心が高まる理由

 OpenInfraの事業開発ディレクター、ジミー・マッカーサー氏は次のように指摘する。「BroadcomによるVMwareの買収が、仮想化製品群のライセンス体系や価格の変更をもたらした。既存のVMwareユーザーは、年間の運用コストの大幅な増加を経験している」。同氏は重要なITインフラソフトウェアベンダーがこのような影響力を持つと、再び同様の事態が起こり得ると警告する。

 VMware製品に代わるサーバ仮想化製品の選択肢として、Nutanixの「Nutanix AHV」やオープンソースの「Proxmox Virtual Environment」が挙げられる。マッカーサー氏は、OpenStackのサーバ仮想化手法について、「OpenStackは複数のオープンソース製品で構成される。OpenInfraには、オープンソースのサーバ仮想化手法を提供するパートナー企業が参加している」と述べる。

 調査会社Forrester Researchの主任アナリストを務めるナヴィーン・チャブラ氏は「VMwareの買収時、ユーザー企業は非常に心配し不安になった。VMwareとユーザー企業の間にある信頼は薄れつつある」と話す。チャブラ氏は、Forrester Researchのレポート「Capitalize On The VMware Disruption」(VMwareの破壊的変化を乗り越える)の主要著者だ。このレポートで同社のアナリストたちは、長年にわたりVMwareが事実上のオンプレミス仮想化ベンダーであったと指摘している。同社はVMwareのオンプレミスインフラに投資しているIT部門に対し、他のハイパーバイザーベンダーを検討するよう推奨している。

 VMwareユーザーが代替のサーバ仮想化製品を探し始める前に、チャブラ氏はまずVMwareライセンスを必要とする主要な社内システムを特定することを推奨した。「技術的に難しいことをしなくても、VMwareを必要としないシステムがいくつか見つかるはずだ」と述べた。

“脱VMware”は機能やスキルの差異が課題に

 VMwareのライセンス体系の変更は、OpenInfra Foundationをはじめとしたオープンソース技術のコミュニティーによって、ユーザー企業のIT部門が単一の技術や製品に自社のデータを集約しないことの重要性を示すために利用されている。

 Cleura(クレウラ)の創業者でイノベーション責任者のヨハン・クリステンソン氏は「リスクを分散させることが重要だ」と話す。同社は公共機関向けIaaSを提供しており、サービスをOpenStackを中心としたオープンソース技術で構築している。クリステンソン氏は、IT部門がオープンソース技術でVMware製品を置き換えようとする際に、利用できる機能に違いが生じる可能性があると指摘する。

 OpenInfra Foundationも、VMware製品をOSSに置き換える際に直面する課題を認識している。OpenStackでITインフラを構築して維持することは、合理化されユーザーフレンドリーなVMware製品よりも困難な場合があるという。例えばOpenStackは機能ごとに分かれたモジュールを組み合わせて利用することから、初期導入作業が複雑になる。この複雑さは、初期の導入時間を長引かせたり、IT管理者のスキル習得を困難にしたりする可能性があると、OpenInfra Foundationは指摘している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

ページトップに戻る