AIだけじゃない Gartnerが注視する2026年のテクノロジートレンド:AI進化と地政学リスクが企業戦略を左右する
Gartnerは、2026年に向けた「トップ戦略的テクノロジートレンド」を発表した。生成AIの普及を前提に、AIの責任ある活用と信頼性の確保を両立させることが今後の企業課題になると指摘している。
Gartnerは2025年10月20日(米国時間)、同社主催のイベント「Gartner IT Symposium/Xpo 2025」において、2026年に向けた「トップ戦略的テクノロジートレンド」を発表した。「AI(人工知能)スーパーコンピューティング」「ドメイン特化型LLM(大規模言語モデル)」「予防的サイバーセキュリティ」などトレンドを紹介している。
AI活用の進化とリスク対応の両立が課題
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トップ戦略的テクノロジートレンドで取り上げられたのは以下の10個だ。
- AIスーパーコンピューティングプラットフォーム
- マルチエージェントシステム
- ドメイン特化型言語モデル
- AIセキュリティプラットフォーム
- AIネイティブ開発プラットフォーム
- 機密コンピューティング
- フィジカルAI
- 予防的サイバーセキュリティ
- デジタルプロヴェナンス(デジタル真正性)
- ジオパトリエーション(地政学的帰属)
2026年のトレンドはAI関連技術が目立っている。多様なプロセッサを統合して超高性能化を実現するAIスーパーコンピューティングプラットフォームや、専門領域に特化したドメイン特化型言語モデル(DSLM)、複数のAIが協調して動作するマルチエージェントシステムが新たなトレンドとして挙げられた。
AI利用の急拡大に伴うリスクについてGartnerは「AI固有の脅威に対応するためのAIセキュリティプラットフォームや、AIを活用して脅威を予測、遮断する先制的防御への移行が進む」と考えている。
開発分野では、生成AIを活用してソフトウェア開発を効率化するAIネイティブ開発プラットフォームに注目が集まっている。非エンジニアも安全な環境下でアプリケーションを構築できるようになるため、Gartnerは、2030年までに大規模開発チームの8割がAI支援型の小規模チームへ移行すると予測している。
2026年は地政学的リスクの高まりにも注意が必要だ。Gartnerによると、データとアプリケーションをグローバルクラウドから自国内や地域のクラウドへ移すジオパトリエーションの動きも強まる見通しだ。同社は2030年までに欧州、中東の企業の75%以上が地域のクラウドへ移行するとしている。
Gartnerのトリ・ポールマン氏(バイスプレジデント兼アナリスト)は「次の波は数年後ではなく“今”訪れている。企業は変化の速度に対応できる体制を整えなければならない」と述べている。
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