情報収集やプレゼン作成は短時間で楽々? AIが変える教育現場の姿とは:埼玉大学が「Felo」トライアル導入
埼玉大学は、「Felo」などのAIツールをトライアル導入し、運用を開始した。Feloはどのようなツールで、教育現場をどう変える可能性があるのか。
AI(人工知能)スタートアップのFelo(フェロー)は2025年11月4日、埼玉大学で同社のAI検索ツール「Felo」と、AIを使ったプレゼンテーション作成ツール「Felo AI Slide 2.0」の学内トライアル導入を2025年11月から開始すると発表した。埼玉大学の教職員や学生が情報収集にAIを取り入れ、教育や学習の効率化を図ることが目的だという。ではFeloはどのようなツールなのか。
「文脈」を理解して従来のキーワード一致検索を超える
Feloは、大規模言語モデル(LLM)を中心としたAIを組み込んだセマンティック検索エンジンだ。セマンティック検索とはユーザーの検索クエリ(問い合わせ)の意味を理解してそれに合致した情報を提示する検索技術のことだ。大学のシステム内に散在する文書やデータ、チャット履歴を横断的に活用できる。Feloは日本語の敬語表現や助詞の使い方を踏まえて文脈を深く理解し、利用者の意図に近い情報を提示できるとFelo社は説明している。
Felo AI Slideは情報を入力するだけで、プレゼンテーション資料を自動生成できるツールだ。教育現場では、レポート作成や研究発表の準備にかかる時間短縮に効果がある。
今回のトライアル導入では、まずは全学向けのオンライン説明会やワークショップを実施し、Feloの活用方法を説明。トライアル期間中は、利用状況のデータ収集やアンケートによって効果を測定し、埼玉大学に合った活用方法を模索するという。「この取り組みを通じて、教育・研究現場でのAI活用事例を積み重ね、高等教育機関におけるAI活用の先モデルケース構築を目指す」(Felo社)
AIで業務効率化を図り、イノベーション創出にリソースを集中できるようになる環境づくりは、企業だけではなく、教育機関にとっても喫緊の課題だ。一方で、教育現場は一般企業ほどAIの活用に慣れていない教職員もいるため、AIの活用方法をいかに丁寧にレクチャーするかが重要だ。今回のFelo社と埼玉大学のトライアルを通じて、教育機関におけるAI利用の「成功パターン」を明確にできれば、他の教育機関もAI活用に取り組みやすくなる可能性がある。
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