AIでAIを監視――オブザーバビリティツールの導入率が2桁成長、New Relic:オブザーバビリティツールの統合も進む?
New Relicは、AI技術の導入とオブザーバビリティツールのニーズなどをまとめた調査レポートを発表した。企業は、AI技術を備えたオブザーバビリティツールにどのような機能を求めているのか。
デジタルビジネス向けのオブザーバビリティ(可観測性)ツールを提供するNew Relicは2025年11月4日、人工知能(AI)技術の導入とオブザーバビリティツールのニーズの拡大、AI技術を活用した監視機能の普及状況などをまとめた調査レポート「2025 オブザーバビリティ予測レポート」を公開した。
同レポートは、世界23カ国、11業界のITおよびエンジニアリング分野の1700人を対象に、2025年4月から5月にかけて実施された調査結果に基づく。回答者の内訳は、実務担当者(65%)、経営陣(11%)、管理職(24%)だ。
企業はツールに何を求めている?
レポートは、深刻なITシステム停止が企業にもたらす年間損失コストの中央値が7600万ドルに達するという実態を明らかにしている。こうしたビジネスリスクの増大と、AI技術の導入拡大が相まって、システムの監視体制は新たな局面を迎えている。
New Relicによると、企業によるAI技術の導入が拡大する一方、従来の監視手段では解決できない、システムの可視性に関する新たな課題が生じている。こうしたリスクに対処するため、「AIを使用してAIを監視する」オブザーバビリティツールへの関心が高まっているとレポートは指摘する。調査によると、同ツールの導入率は2024年の42%から2025年には54%へと2桁の成長を遂げた。AI技術を備えたオブザーバビリティツールの導入を予定していないと答えた企業は全体のわずか4%だった。
では、AIを使用してAIを監視するオブザーバビリティツールに企業は何を求めているのか。調査では、企業のインシデント対応やオブザーバビリティ業務の向上に最も貢献すると考えるAI機能を尋ねた。その結果、「AIによるトラブルシューティング」が最も多く挙がった。次いで、「根本原因の分析の自動化」「予測分析」「AIによる是正措置」「AIによるインシデント後のレビューの実施」が続いた。
レポートからは、オブザーバビリティツールの統合を進める企業の動きも明らかになった。調査によると、企業が使用するオブザーバビリティツールの平均数は2023年から2025年にかけて27%減少した。企業当たりの使用ツール数の中央値は4だった。回答者の52%は、12〜24カ月以内にオブザーバビリティツールを1つにまとめる計画を立てており、48%はAIOps(AI技術を活用してIT運用の定型業務を自動化する手法)やAI技術への投資拡大を計画していると答えた。
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