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Anthropicが東京オフィス開設 日本政府と協力で挑む「安全なAI」の物差し作り日米英の政府機関と連携

「Claude」を開発するAnthropicが東京に拠点を開設した。日本のAIセーフティ・インスティテュート(AISI)と協力し、AI技術の安全性評価で連携する。同社が政府と組んで、国際的なAI評価基準の策定を進める狙いは。

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 AI(人工知能)モデル「Claude」を開発するAnthropicが、アジア太平洋地域初となるオフィスを東京に開設した。AI技術が急速に進化する中、その能力とリスクを測る「物差し」の整備が世界的な課題になっている。今回の同社の日本進出は、単なる市場拡大にとどまらず、AI技術の安全性に関する国際的なルール形成に深く関与する狙いがあるという。

「安全なAI」の物差しを積極的に策定する理由

 東京オフィスの開設に際して来日したAnthropicのCEOダリオ・アモデイ氏は、高市早苗総理大臣と会談した。AI技術の安全性とガバナンスを推進する「広島AIプロセス・フレンズグループ」への参加と並び、同社は日本政府との連携を強化する動きを見せている。

 AnthropicはAI技術の安全性の評価手法や基準を検討、推進する経済産業省傘下の機関AIセーフティ・インスティテュート(AISI)との間で、AIの評価手法に関する協力覚書も締結した。この覚書は、同社がすでに合意している米国や英国のAI安全機関との協力に続くものであり、日米英の政府機関と連携してAI評価の共通基準の構築を目指すものだ。

 AISIとAnthropicは、主に2つの分野で協力する。1つ目は、AIモデルの能力、限界、潜在的リスクを評価する手法やベストプラクティスを共有し、国際的に通用する共通基準の確立を目指す。2つ目は、AI技術の新たな動向や将来の技術発展について継続的に情報を交換し、進化の最前線を共同で監視する。

 Anthropicが日本市場を重要視する背景には、日本特有のAI技術の活用手法がある。同社日本法人の代表取締役社長である東條英俊氏は、「日本企業は、AI技術が人間の判断を代替するのではなく、人間の能力を増強する協働ツールとして活用している」と分析する。以下にそれらの例を挙げる。

  • 野村総合研究所は、数時間かかっていた文書分析を数分に短縮できた
  • クラウドインテグレーターのクラスメソッドは、プロジェクトのソースコードの99%をAIツールが生成し、生産性が10倍向上した
  • 楽天は、自律的なコーディングにClaudeを活用している
  • パナソニックは、業務オペレーションや消費者向けアプリケーション内のアシスタントとしてClaudeを導入している

 この他にもAnthropicは、森美術館とのパートナーシップを拡大するなど、文化的な連携も深めている。強力なAIモデルの登場に対し、安全性を確保する共通の枠組みを構築することが、結果としてイノベーションを加速させ、企業のAI導入を後押しするというのが同社の考えだ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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