紙からクラウドへ 公益財団法人の挑戦は誰がどのように進めた?:既存の業務フローは維持しながらDX
神奈川県の公益財団法人が、20年以上続いた紙ベースの業務フローから脱却し、決裁の迅速化やペーパーレス化を実現した。同公社の「紙文化」が変わったきっかけは何だったのか。
起案書は紙で作成し、回覧や決済時には印鑑を押す、書類は書庫に保管する――こうした紙ベースの業務フローを続ける組織が、「紙文化」から脱却するためには何から始めればいいのか。
神奈川県の公益財団法人「厚木市環境みどり公社」は、環境衛生業務や公園管理などの事業を展開する。長年続いた紙文化を前提とした業務フローに課題を抱えていた同公社は、2025年2月にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を開始した。そこで同公社は、シヤチハタの支援を受け、紙ベースの承認フローを刷新し、業務効率化とDXの推進で成果を上げた。
組織の誰がどのように動いたのか
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業務フローの改革、どうすれば?
同公社では従来、業務上の承認や決裁に21人の確認を要し、1週間かかっていた。さらに、書類の所在不明や回覧遅延が常態化していたという。
2025年2月、同公社の理事長、飛鳥田 諭氏の主導でDXの推進が決定され、同年4月にはDX推進担当者3人が任命された。同公社はシステムの導入に当たって5社を比較検討。「既存の業務フローを維持しつつ電子化できる点」を評価した、シヤチハタの「Shachihata Cloud」の導入を決めた。このサービスは、電子印鑑や電子署名の機能を搭載し、文書の押印業務を電子化できる。ワークフローやグループウェアの機能も利用可能だ。
導入の結果、決裁時間は従来の1週間から2日へと短縮された。ペーパーレス化により回覧書類は7割削減され、共覧物の即時配信も可能となったと同公社は説明する。
飛鳥田氏は「行政出身として、印鑑を押して回す従来のやり方に強い違和感があった。導入後は紙での稟議(りんぎ)が減り、デジタル化が進んでいる」とコメントしている。
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