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大分発の災害情報システムをソロモン諸島が導入へ 選定の理由は南太平洋でSAP技術を活用

南太平洋の島国ソロモン諸島は、SAPの技術を使い日本で開発された災害情報システム「EDiSON」を導入する。活用方法や、このシステムが選ばれた理由とは何か。

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人工知能 | SAP | 災害対策


 SAPは2025年11月20日、SAPジャパンや大分県のITベンダーINSPIRATION PLUSが開発した災害情報システム「EDiSON」を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がソロモン諸島で実施する予定の防災強化プログラムで導入すると発表した。

 地震や津波、サイクロン(台風)、洪水の被害を受けやすいソロモン諸島は、日本で培った災害情報技術をどう活用するのか。

利用シナリオと、ユネスコがEDiSONを選んだ理由

 SAPのマルチクラウドプラットフォーム「SAP Business Technology Platform」で稼働するEDiSONは、リアルタイムの気象データや過去の災害情報などさまざまなデータを統合する。AI(人工知能)ツール「SAP Business AI」を活用してデータを分析、自然災害発生時の被害を予測することで、避難勧告の発令や、被災地への緊急支援の派遣といった施策を講じるための重要な情報を提供する。

 EDiSONは、大分大学、SAPジャパン、INSPIRATION PLUSが協働して開発した。EDiSONを使えば、政府機関や自治体などが、大規模な予算を確保したり高度な技術に対する知識を習得したりしなくても、先進的な防災管理ツールを通じてインサイト(洞察)を得られるようになる。

 EDiSONの選定は、2026年にUNESCOが開始予定の支援プロジェクト「Solomon Islands Initiative」(ソロモン諸島イニシアチブ)の一環だ。南太平洋の島国であるソロモン諸島は気候変動によって引き起こされる自然災害の深刻化に直面している。Solomon Islands Initiativeでは、地形被害の予測、被災地への緊急支援の派遣、避難勧告の発令に関する意思決定支援などにEDiSONのデータを活用する計画だ。

 EDiSONの導入によって「早期警戒能力を強化する他、長期的な対応力や回復力のための基盤を構築する」と、ユネスコ自然科学局防災課長の安川総一郎氏は述べる。

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