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Broadcomによる「VMware vVols廃止」の衝撃 “vSAN強制”にあらがう3大選択肢手動運用に戻る以外の道はあるのか

Broadcomが「VMware vSphere Virtual Volumes」(vVols)の廃止を決定した。ストレージ運用の自動化という恩恵を受けてきた企業にとっては深刻な問題だ。Broadcomの狙いと、企業が採用できる3つの代替策を解説する。

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 BroadcomによるVMware買収以降、製品ポートフォリオの刷新やライセンス体系の変更など、ユーザー企業を揺るがすニュースが続いている。「VMware vSphere Virtual Volumes」(vVols)の廃止もその一つだ。

 vVolsはストレージのプロビジョニングを動的に実行し、管理者の負担を減らす技術としてVMwareが開発した。その廃止は単なる機能削除にとどまらず、運用の「自動化」と「効率性」が失われることを意味する。vVolsを活用している企業は、vVolsと同様の機能を実現する別の手段を探さなければならない。BroadcomがvVolsを廃止する“真の目的”と、企業が取るべき現実的な選択肢を解説する。

Broadcomが“便利なvVols”を切り捨てる理由

 Broadcomによると、2025年に公開したプライベートクラウド構築製品群「VMware Cloud Foundation」(VCF)バージョン9.0および「VMware vSphere Foundation」(VVF)バージョン9.0から、vVolsは非推奨となった。同社は将来的にVCFおよびVVFの後続バージョンにおいて、この機能を完全に廃止する計画だ。2025年6月にはそれぞれのバージョン9.1でvVolsを廃止すると発表したが、その後具体的なバージョン名を取り下げ、「将来のバージョン」での廃止に計画を変更した。

 VCFバージョン9.0およびVVF 9.0におけるvVolsの互換性認定は終了している。ただし、サーバ仮想化製品群「VMware vSphere」バージョン8.x、VCFバージョン5.x、VVFバージョン5.xといったサポート対象の旧バージョンについては、製品のサポート終了日(EOS)まで、vVolsに関する重要なバグ修正を継続するとBroadcomは確約している。

 BroadcomがvVolsを廃止する主な理由は、採用率の低迷にあると考えられる。VMwareは2015年、VMware vSphereバージョン6.0とともにvVolsを導入した。登場から10年以上が経過しているが、広く普及するには至っていない。

 一部のアナリストは、BroadcomがvVolsを廃止することで、ユーザー企業をストレージ仮想化ソフトウェア「VMware vSAN」(以下、vSAN)へと誘導しようとしているのではないかと推測する。vSANはvVolsのように、外部ストレージが標準で備えているSAN(ストレージエリアネットワーク)機能を使用しない。vSANへの移行が進めば、Broadcomにとってはライセンス収益の増加につながり、同時に自社製品への囲い込み(ベンダーロックイン)も強固になるという仕組みだ。

代替となる3つの選択肢

 vVolsの代替策を検討する企業には、主に3つの選択肢がある。

 1つ目の選択肢は、VMwareのデータストア内でストレージを手動プロビジョニングすることだ。これはvVols以前の標準的な運用だが、管理者がvVolsで享受していた自動化の恩恵や利便性が失われる。そのため、この選択肢は万人にとって適切ではない。

 2つ目の選択肢は、仮想マシン(VM)の中で稼働しているOS(ゲストOS)から、SANを構成するプロトコル「iSCSI」を利用して接続する方法だ。通常、外部ストレージとの接続はハイパーバイザーが一括して管理するが、このアプローチでは各ゲストOSが個別に外部ストレージと通信する。これによって、vVols廃止で利用できなくなる外部ストレージの高度な機能を、ゲストOSで利用できるようになる可能性がある。ただしOSごとに個別の接続設定が必要になるため、実装と管理の負担は大きい。vSphereが提供するVMware製品との連携機能も利用できる範囲に制限がある点も課題だ。

 3つ目の選択肢は、vVolsの代替としてvSANを採用することだ。これはVMwareが推奨する移行ルートでもある。vSANは、データストア(VM内のファイルを管理するための論理的なストレージ)の運用を支援する機能を複数提供する。ユーザー企業自身がゲストOSごとにiSCSI通信を設計、運用する体制よりも、ベンダーによる手厚いサポートを受けることが可能だ。

vVols廃止によって失われるもの

 複数のVMがストレージ領域を共有する従来方式とは異なり、vVolsは1つのVMに1つの仮想ボリュームを割り当てることができた。管理者はボリュームの作成やデータストアの切り出し作業に追われる必要がなく、VMに必要な性能要件を指定するだけで、それに基づいてストレージが自動的に割り当てられた。

 これは「ポリシーベースの自動化」を実現するものであり、管理者は「1時間ごとのスナップショット作成」といったタスクを効率的に実行できた。VMware製品が機能を疑似的に再現(エミュレート)するのではなく、外部ストレージが備える高度な機能を、vVolsを通じて直接利用できたのだ。

 vVolsの普及率を踏まえると、今回の廃止決定が企業に与える影響は限定的だとみられる。vVolsを使用している企業であっても、全社規模で展開しているケースは珍しいはずだ。とはいえ、現行ユーザーにとって、きめ細かな制御機能やポリシーベースの自動化が失われることは事実だ。該当する企業は早急に代替策の検討を開始し、具体的な移行計画を策定する必要がある。

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