「担当者が辞めたら終わり」の危機 鴻池運輸はETL乱立をどう正したか:物流大手のDXを支えるデータ基盤統合
特定の担当者にしか触れないETLツールを複数抱え、運用がブラックボックス化していた物流大手の鴻池運輸。属人化のわなから、どう脱出したのか。自動化実現の裏側に迫る。
鴻池運輸は、データ連携基盤としてアステリアのノーコードツール「ASTERIA Warp」を採用した。2026年1月26日、アステリアが発表した。用途ごとに分散していた3種類のデータ変換(ETL)ツールを一本化し、運用を効率化した。IT部門が手作業で行っていた業務を自動化したほか、新たなクラウドサービスとの連携体制を構築し、全社的な業務スピードの向上とDX推進を目指す。
ASTERIA Warpを選んだ理由と導入効果
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企業が進めている「DX」の事例
鴻池運輸は物流業務にとどまらず、製造や医療、空港業務など幅広い領域で顧客企業のバリューチェーン最適化を支援するサービスを展開している。同社では従来、会計システムを中心としたデータ連携や分析基盤の構築に3種類のETLツールを併用していた。しかし、用途別にツールを使い分けていたため運用が複雑化していたほか、開発にはプログラミングの専門知識が必要で、特定の担当者に業務が集中する属人化が課題となっていた。さらに、ツールの1つが保守期限を迎えることを機に、将来的なシステム拡張を見据えた基盤の抜本的な見直しを決めた。
ASTERIA Warpの採用にあたり、ノーコードで開発できるため学習コストを抑えて属人化を抑制できる点や、接続先を拡張できるアダプターが豊富に揃っている点を評価した。また、国内ベンダーによる充実したサポート体制が整っており、運用面での安心感があることも決め手となった。
導入後は、IT部門が年2回、各約6時間をかけて手作業で実施していた会計システムのマスター情報更新を自動化した。これにより、経理部門が任意のタイミングで更新作業を行えるようになり、IT部門の負担軽減と業務の迅速化を実現した。また、既存のIBM iやAWS、Tableauに加え、新規導入したSalesforceやServiceNowとの連携にも柔軟に対応。約300のデータ連携フローが数秒から数分間隔で自動実行される体制を整えた。
鴻池運輸エンタープライズシステム部部長の長岡数朗氏は、「ASTERIA Warpは誰にでも簡単に使えるため、属人化の問題を解決できた。以前は各ツールの担当者が分かれていたが、管理コンソールで直感的に状況を把握できる点も気に入っている。既存システムですでに多くの改善効果が出ており、今後もDXの進展に合わせてデータ連携ニーズに対応していきたい」としている。
同社は今後、経理部門を中心としたデータ連携の活用を他部署へも拡大し、全社的な業務効率化を推進する計画だ。データ連携基盤の拡張についても、内製化を積極的に進めていく。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「鴻池運輸、データ連携基盤を刷新 ETLツール統合でIT部門の工数削減と属人化解消」(2026年1月26日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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