「名ばかりリスキリング」が招くDXの死 AIプロジェクト“5割頓挫”はなぜ?:IT教育会社の調査から読み解く
ITスキルの底上げを掲げながら、教える人材も、学ぶ時間も確保できていない――。「95%のリーダーが抱える矛盾」は、現場の疲弊とDX停滞につながる。必要な対策とは何か。
企業で従業員のITスキルを伸ばすことの重要性が増している中、人材不足がスキルアップの壁になっていることが、IT教育事業を手掛けるPluralsightの調査で分かった。同社によると、英国企業のビジネスリーダーの約95%が、ITに関する従業員のスキルアップを重要課題と捉えているが、同じ割合の企業がそれを実現するための人的リソースを持っていない――。求められる解決策とは。
人的リソース不足が招くAIプロジェクト崩壊の危機
Pluralsightセキュリティ研究者のマット・ロイド・デイビス氏は、「ほぼ全ての経営者がITに関する学習文化の重要性を認めている」と説明する。しかし、スキルを身に付けさせるための人材が不足し、「経営者の考えと現場の実態との間に明確なギャップがある」と同氏は語る。デイビス氏によると、そのギャップを埋めるには、経営者が労働力計画に、学習に必要な人材を含める必要がある。
ITスキルアップの重要性が高まっている背景には、AI(人工知能)技術の普及や、攻撃の巧妙化といった動きがある。企業はAIやセキュリティに精通する人材を外部から採用することが難しいとみられるため、既存の人材のスキルを伸ばすことが求められている。英国政府もIT人材のスキルを向上させるために、企業内学習の実施を推奨している。
Pluralsightによると、2025年には、AI関連のプロジェクトの半数が適切なスキルの欠如により未完に終わったと指摘する。この問題は、企業が従業員のスキルアップに本腰を入れない限り、今後も続く可能性があるという。同社調査では、英国企業の従業員の9割が、サポートが足りないことがスキルアップの最大の障壁だと考えていることが明らかになった。
Pluralsightバイスプレジデント(グローバルパートナーシップ担当)のドリュー・ファーメント氏は、スキルアップが進まない理由として「企業文化の問題」を挙げる。「企業は学習に必要な時間や人材を確保するために、学習をビジネスの一部として捉えなければならない」と同氏は強調する。そうすることによって、学習の優先順位が上がり、学習する人と学習させる人の両方にとって取り組みやすくなるという。
スキルアップは費用面でも企業にメリットをもたらすとPluralsightは説明する。同社によると、新しい人材を雇うよりも、内部の人材の再教育のほうが費用を抑えやすい。一方で従業員はスキルを伸ばせば、昇格につなげ、給与が上がる可能性があるとPluralsightは述べる。
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