AIで社員のスキル評価を自動化 ハルシネーション対策は?:SCSKが導入
SCSKは、従業員の専門スキルを評価・認定する「専門性認定制度」に、生成AIを活用したスキル評価システムを導入した。評価の妥当性と一貫性を確保し、公正で柔軟なスキル評価を実現する。
システムインテグレーターのSCSKは、従業員の専門スキルを評価・認定する独自の「専門性認定制度」において、生成AI(AI:人工知能)を活用した「スキル評価システム」を導入した。システム開発は、住友商事グループの技術専門会社であるInsight Edgeと共同で実施した。2026年5月8日、Insight Edgeが発表した。同システムの特徴は?
AIで社員のスキル評価を自動化、その裏側は?
SCSKでは、従業員の成長支援を目的として、18職種41分野にわたる専門能力を7段階で評価する「専門性認定制度」を運用している。同制度では、従業員が自身の保有スキルや実務経験を記載した申請書類を提出し、各分野の有識者による面談審査を経てレベル認定を受ける。職種・分野ごとに必要スキルを定義した「レベル定義書」は、従業員にとって長期的なキャリア形成の指標として活用されてきた。一方、申請者と審査員双方の業務負荷が大きいこと、年1回の審査運用では、申請から認定までに時間差が生じ、獲得したスキルを即座に可視化できない点が課題となっていた。
新システムは、以下の特徴を備えている。
AIによるハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)や評価バイアスを排除する「多重防御」構造
評価プロセスを「品質検証フェーズ」と「スキル評価フェーズ」の2段階に分割し、前工程の結果に応じて後工程へのデータフローを制御する論理インターロックを採用した。品質検証フェーズでは、入力内容の具体性や妥当性が基準を満たさない場合、AIが追加質問を実施し、不足情報を補完する。一定回数の補完を経ても基準に達しない場合は、評価を中断するか強制的に次工程へ進めるかを決定論的に分岐させる仕組みを備える。
1回のAI推論に依存せず、複数回の並列推論結果を統計的に集約
1回のAI推論結果に依存せず、AIによる評価を複数回実施する。多数決や中央値による統計的処理を採用することで、ハルシネーションの影響を低減、評価の妥当性と一貫性を確保する。
合格基準などの総合判定ロジックを隠蔽
加えて、AIには個別のスキル測定のみを実施させ、合格基準などの総合判定ロジックを隠蔽することで、特定の長所に引きずられて全体の評価が高くなる「ハロー効果」などのバイアスを構造的に排除した。測定と総合判定を分離することで、人間の審査に近い精緻な評価を維持しつつ、工数の大幅な削減を実現したという。
同システムは、数値スコア評価やランク評価など、多様な評価制度に対応できる柔軟性も備える。ゲート通過条件をパラメータ化することで、制度変更にも対応しやすい設計とした。また、入力内容に具体性が欠ける場合には、AIが“面接官”のように深掘り質問を行い、評価に必要な情報を引き出す機能も実装した。
SCSKは、本システムによって可視化されたスキル情報を、適材適所の職務アサインへ即座に活用していく方針だ。社員の成長機会を最大化し、人的資本経営のさらなる推進につなげる考えだ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「SCSK、生成AIで社員のスキル評価を自動化 人的資本経営を加速」(2026年5月11日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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