中小企業の6割が「AI不要」 深刻化する大企業との”AI活用格差”:大企業の導入率64.7%
ラグザスの調査によると、大企業と中小企業、都市部と地方企業の間で生成AIの導入や活用に格差が生じていることが分かった。格差を是正し、生成AIの利用を推進するために企業ができることを整理する。
「生成AIを導入したいが、何から始めればいいのか分からない」「AI活用は大企業の話で、自社にはまだ早い」――。こうした声は中小企業や地方企業で少なくないようだ。
ラグザスが2026年4月に実施した調査によると、大企業や都市部でAI活用が「本格的な実業務への実装段階」に入っている一方で、中小企業や地方企業では「導入予定なし」が多数を占めており、企業規模と地域の双方において深刻な「AI活用格差」が広がっている実態が数値として浮き彫りになった。本稿は、ラグザスの調査結果から、主要なポイントを3つのトピックに整理して紹介する。
企業規模による「AI導入格差」:大企業と中小企業で約2.7倍の差
ラグザスの調査結果からは、AIの導入状況において、企業規模による分断が見られた。調査によると、従業員5001人以上の大企業では、AIツールやAI機能の導入率が64.7%に達した。さらに大企業の34.9%は「複数部署・業務で積極的に活用している」と回答した。AIを一部の担当者だけが試験利用するのではなく、業務プロセスそのものへ組み込み始めている企業の実態が見えてきた。
一方、従業員1〜300人の中小企業におけるAI導入率は23.7%にとどまり、企業規模によって約2.7倍の差が生じていることが分かった。AIを活用している企業であっても、特定部署や実験的な利用にとどまるケースが多く、実業務への本格実装には至っていない状況だった。
この背景には、大企業ほどAI導入に必要な人材や予算、社内体制を整えやすい一方、中小企業では必要性を感じていても、具体的な導入方法や活用領域を定めきれていない傾向があることが見て取れる。
中小企業の約6割が「導入予定なし・必要性を感じない」
調査結果によると、大企業においては業務効率化や生産性向上を目指した組織的導入が進む一方、中小企業では導入の検討すら始まっていない企業が多数を占めていた。
実際、大企業では「複数部署・業務での積極活用」(35.7%)が進む一方、中小企業では「導入の予定はない・必要性を感じない」との回答が59.0%に上った。
この結果が生まれる背景には、AI導入を支える人材や予算、ガイドライン整備を進めやすい環境がある。加えて、複数部門を横断してデータを扱う機会が多く、「AIで効率化できる対象業務」が見えやすいことも影響しているとみられる。
中小企業では「AIを何に使えるのか」「本当に導入する必要があるのか」という前段階で足踏みしているところがあり、今後はハードルを下げるための具体的な活用事例や導入メリットの提示といった支援が求められる。
「AI格差」は地方でも拡大
今回の調査では、企業規模だけでなく、地域による格差も明らかになった。
東京都、大阪府、名古屋市といった大都市圏では、「複数部署・業務で積極活用している」と回答した割合が24.1%だった。一方、その他の地方・地域では6.0%にとどまった。「特定部署での一部活用」についても、都市部(約19%〜20%)が地方(11.2%)を上回っていた。
また、「導入予定はない・必要性を感じない」と回答した割合は、地方・地域で62.0%となり、大都市圏の35.5%を大きく上回った。
大都市圏では、取引先や競合企業からAI活用事例が流入しやすく、AI導入支援ベンダーやコミュニティーへのアクセスもしやすい。一方、地方では「自社と近い規模・業種の成功事例」が見えにくく、「本当に必要なのか」という認識にとどまりやすいと考えられる。
AI導入の差が「競争力の差」になる可能性も
今回の調査結果からは、AI活用が単なる「新技術導入」ではなく、企業規模や地域による競争力格差につながり始めている可能性が見えてくる。
既に大企業では、生成AIを業務プロセスへ組み込み、生産性向上や情報整理、自動化に活用する動きが進みつつある。一方、中小企業や地方企業では、「必要性を感じない」という段階にとどまる企業も多い。
今後は、AI導入そのものよりも、「どの業務に適用するのか」「どのように現場へ定着させるのか」が企業競争力を左右するテーマになる可能性がある。特に情報システム部門には、「AIを導入するかどうか」だけでなく、「限られた人員と予算でどこから着手するか」を見極める役割が求められそうだ。
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