「iPhone 13」などのスマホ下取りが急増している理由 新品はやっぱり高過ぎる?:新品に手が出ない消費者の実態
スマートフォンの価格が上がり続ける中、古いスマートフォンを下取りに出して「整備済み品」を選択する消費者が急増している。なぜこのような事態に陥っているのか。
電子機器の補償・下取りサービス企業Assurantが2026年6月に発表した米国スマートフォン下取り市場の分析レポートによると、市場の根本的な仕組みが完全に変わったとまでは断言できないものの、新たな動向が明らかになった。メモリ部品の価格高騰が、スマートフォン1台当たりの製造原価やビジネスモデルを変化させ始めている一方で、同社の2026年第1四半期(1〜3月)の収益は過去最高を記録した。
このレポートは、Assurantが2026年第1四半期の米国におけるモバイル下取りおよび買い替え業界動向を分析したものだ。それによると、過去最高を記録した2025年に続き、スマートフォンの下取り、補償サービス、好調な中古スマートフォン市場が、消費者がスマートフォンを買い替える際の価値を高めるのに一役買っている。消費者がスマートフォンを購入してから手放すまでの間における「古いスマートフォンをそのまま棚に放置したりするのではなく、下取りに出す」といった身近な選択が、消費者にとっていかに有意義な価値を生み出せるかも示した。
Assurantによると、このデータはより広範な変化も浮き彫りにしている。米国で需要が高まっている整備済み品(修理・点検を経て、新品に近い状態で再販される製品)の市場拡大が下取り価格を押し上げており、価値を決定する上でスマートフォンの状態が果たす役割が大きくなった。補償サービスは消費者が高い再販価値を維持するのに寄与しており、下取りは消費者がスマートフォンを買い替える手段の中心になりつつあると同社は見ている。
新品の「iPhone」や「Galaxy」が買えない?
今回の調査結果は、下取りに出されたスマートフォンの量と消費者に還元された総額に基づき、2026年第1四半期が業界にとって過去最も活発な時期だったことを示している。全体として、2026年第1四半期に米国の消費者が下取りプログラムから受け取った金額は16億3000万ドル(約2640億円)に達した。これは2025年の同時期と比較して31%増に当たる。第1四半期としては市場最高額であり、Assurantはその理由を、「スマートフォン価格の上昇によって下取りや整備済み品への依存が強まったためだ」と分析した。
下取りされたスマートフォンの平均使用年数は3.81年となり、2025年通年の3.84年と比較して安定した水準を保っている。Apple製品で最も下取りされたのは引き続き「iPhone 13」だった。一方、「Android」搭載スマートフォンではSamsung Electronicsの「Galaxy S23 Ultra」が首位を獲得した。
部品価格の動向に注目すると、Counterpoint Researchなどの市場調査機関が発表したデータでは、DRAMとNAND型フラッシュメモリの価格が2025年第4四半期(10〜12月)と比較して50〜90%急騰している。銅や金といった鉱物資源の価格も、2025年第1四半期(1〜3月)と比較して7〜10%上昇しており、これらがスマートフォンのコスト構造を大きく押し上げていると指摘されている。消費者が1つのスマートフォンを長く使い続けるようになり、新品を購入しなくなったことで、結果として整備済み品の需要を加速させている。
状態の良いスマートフォンは高い下取り価格が付けられており、過度な摩耗や損傷があるものと比べて最大50%増の金額を受け取る消費者も存在した。
「このような状況を受けて、通信事業者は費用を抑えつつ既存ユーザーが他社に乗り換えるのを防ぐために、通信料に端末補償や下取り、最新機種への買い替え権利をひとまとめにした月額パッケージ(バンドル)の提供方法を見直している」とAssurantは報告する。その一例として挙げられたのが、米国の通信事業者Comcastが展開するモバイルサービス「Xfinity Mobile」のプラン「Mobile Plus」だ。これは修理や交換のサービスを月々の基本料金に最初から組み込み、故障時の突発的な出費を防ぎ、費用の見通しを立てやすくしている。
この動きは、消費者の需要とも一致しているとAssurantは付け加える。同社の「2026 Global Connected Consumer Trends Report」は、2025年12月から2026年1月にかけて、18歳以上のスマートフォンを使用する1万1000人以上を対象としたオンライン調査の結果をまとめたものだ。それによると、85%の回答者が、「自由にカスタマイズできる補償が付いたスマートフォンを購入する可能性が高い」と答えた。
Assurantのグローバルコネクテッドリビング事業部でエグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントを務めるビジュ・ナイル氏は、「スマートフォン価格が上昇を続ける中、買い替え費用を賢く管理する方法が求められており、補償サービスと組み合わせた下取りの役割が大きくなっている」とコメントする。
ナイル氏は、2026年第1四半期の動向を受けて、下取りの活発化が単なる購入費用の節約にとどまらず、整備済みスマートフォンの流通を促し、より多くの消費者が手頃な価格で高性能なスマートフォンを利用できる環境づくりに寄与していると分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.