徹底レビュー:「Surface 3」、誰もが購入を検討する“圧倒的な正しさ”とは価格を超えるプレミアム感(2/2 ページ)

2015年07月31日 10時00分 公開
[TechTarget]
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構成

 Surface 3は複数の構成で提供される。2GバイトのRAMを搭載する64Gバイト版(今回のレビューに使用)と、4GバイトのRAMを搭載する128Gバイト版だ。いずれも802.11a/b/g/n/ac Wi-Fiをサポートする。Microsoftは近い将来、LTE対応版を提供すると約束している(国内では法人向けはWi-Fi/LTEモデルを提供、個人向けは当面はLTEモデルのみ)。いずれのユニットにも「Office 365 Personal」の1年分のサブスクリプション(70ドルに相当)が無償で付属し、Microsoft Word、Excel、「Microsoft PowerPoint」「Microsoft Outlook」の他、1Tバイトの「Microsoft OneDrive」ストレージを、PC1台とタブレット1台(iPad、Android、Windows)、スマートフォン1台で利用できる。

 RAMが2Gバイトである点には少し不安を感じる。RAMが2GバイトのSurface 3は今のところは問題なく動作するが、低価格ではないWindows端末にしては2GバイトのRAMは少なすぎる。この先2016年以降、特にWindows 10で使おうという場合に性能がどの程度になるかが少し不安だ。

 Surface 3の出荷時のディスク空き容量は64Gバイト版がわずか37Gバイト、128Gバイト版は93Gバイトだ。Surface 3をメインPCとして使うつもりなら、128Gバイト版を選ぶべきだ。大量の音楽データを管理したいのなら、なおさらだ。37Gバイトくらいでは、アプリとファイルですぐに埋まってしまう。

バッテリー

 Surface 3のバッテリー持続時間は素晴らしい。非常に厳しいバッテリーベンチマーク「PowerMark」では、「balanced」モードで334スコアを記録し、もっと高価な端末のスコアを上回った。

 バッテリー持続時間のベンチマークテスト「PowerMark」の結果(単位は分数。スコアが高いほどバッテリー持続時間が長い)

PowerMarkの結果《クリックで拡大》

 ディスプレーを最大輝度に設定して、Wi-Fi経由、Google Chromeで「Netflix」をストリーミングしたところ、Surface 3のバッテリーは3時間20分持続した。Surface 3は、最低でもこれだけのバッテリー持続時間を期待できるということだが、これは残念な結果だ。Surface Pro 3のバッテリーは5時間持った。

タイプカバーとドッキングステーション

Surface 3のタイプカバー《クリックで拡大》

 Surfaceはキーボードカバーを付けて初めて完成形となる。ただし、キーボードカバーは別売だ。Surface 3向けには、新しくレッド、シアン、ブラック、ブライトレッド、ブルーの5色の「タイプカバー」が提供されている。

 新しいタイプカバーは基本的には、Surface Pro 3のタイプカバーの小型版だ。マグネット式の先端部は折り返してSurface 3の本体下部に固定できるので、キーオードに傾斜を付け、より快適に使用できる。キーはフラットでバックライトが付いており、音は静かだ。キーストロークも、特にこのカバーの厚みを考えれば十分だ。恐らく最も重要なのは、タイプカバーはキー数が77個で詰め込んだ感じが全くしないことだろう。

 タッチパッドの性能も十分だが、これだけに頼るには小さすぎる。もっともSurface 3はタッチスクリーンタブレットなので、これは大した問題ではない。ただし、キーボードで音量のコントロールができないのは、不便ではある。キーボードには、消音キーはあるが、音量を上下するためのキーがない。Surface 3には本体上部に音量ボタンがあるので、恐らくMicrosoftはキーボードには不要と判断したのだろう。だが、テストの最中、動画の音量を調整しようとして、キーボードのバックライト調整キーを押してしまっていることが度々あった。

 タイプカバーはマグネットでSurface本体に固定されるが、この素晴らしい機構は他のSurfaceにも共通している。つまり、Surface 3には前世代Surfaceのキーボードカバーをどれでも装着して機能させられるということだ。ただし、Surface 3は独自の設計なので、ディスプレーを完全にカバーし、保護できるわけではない。

 古いSurfaceからのアップグレードを考えているユーザーには、恐らくこれは朗報だろう。新しいタイプカバーは129ドル99セント(国内では1万5680円)もする。

Surfaceペン

Surfaceペン《クリックで拡大》

 Surface 3はさらに、Surface Pro 3と同じSurfaceペン(別売)をサポートする。初代Surface ProとSurface Pro 2とともに出荷されたSurface Proペンはサポートされない。Surface ProペンはWacomの技術をベースとしているが、最近のSurfaceはMicrosoft傘下のN-Trigのペンを採用しているからだ。今回のテストでは、Surface 3で「N-Trig DuoSense Pen 2」も使えることが確認できた。

 Surface Pro 3とSurface 3とで、ペンの使い勝手はほとんど変わらない。Bluetooth接続でSurfaceペンをSurface本体とペアリングすれば、「Microsoft OneNote」をすぐに起動できる。筆圧感知はSurface Pro 3と同じく256段階で、キャリブレーションを行えば十分に正確だ。ディスプレーでの書き心地も、適度な摩擦があって素晴らしい。

 ペンの筆圧感知を調整するための「Surfaceアプリ」も優秀だ。筆圧感知の調整の他、ディスプレーのベゼル部分にあるWindowsボタンを無効化したり、OneNoteのクイック起動の際にスタート画面とデスクトップ画面のどちらを開くかを設定したりできる。

 もちろんSurface 3には、ペン使用時に手のひらを画面に置いても誤動作しないようにするためのパームブロッキング機能が用意されている。ただし、ペンを使用中にうっかりタスクバーアプリを起動してしまう問題が何度か発生した。ペンの反応が遅くなることはほとんどない。

 ゆっくり引かれた線を滑らかにするという点では、Surface 3はSurface Pro 3よりも若干改善されている。ただし、まだSurface Pro 2のレベルには届いていない。エッジ検出は明らかに向上している。ただし、Surface 3は横向き画面の端で素早く引いた5本の線のうち2本はかなり曲がって描かれた。

 N-Trigのペンを動かすには単6電池が1つ必要だ。

 インク機能を以前から使っているユーザーは、N-Trigのペンが米Adobeの製品、特に「Adobe Photoshop」とうまく連携できなかった不遇の時代を覚えているかもしれない。もはや、そうした問題はない。少なくとも、「Adobe Photoshop CC 2014」ではそうだ。ただし、「CorelDRAW」など、その他の人気の描画アプリケーションやPhotoshopの旧バージョンには依然として、Wintabドライバが必要だ。もっとも、Surface 3にはこれらのプログラムを処理するほどの馬力はないので、そもそもこの点は争点にならないかもしれない。

 Surfaceペンの価格は49ドル99セント(国内では5980円)と、少し高めだ。Surface 3本体にもタイプカバーにもSurfaceペンを固定する場所がないので、Microsoftは粘着力のある「Surfaceペンループ」を4ドル99セントで別売しているが、これはちょっと高すぎではないだろうか。

ドッキングステーション

Surface 3のドッキングステーション《クリックで拡大》

 Surface 3のドッキングステーションは199ドル99セント(国内では2万3680円)で提供されている。Surface Pro 2とSurface Pro 3と同様、このドッキングステーションを使えば、USB 3.0ポート2基、USB 2.0ポート2基、ギガビットイーサネットポート、3.5ミリのオーディオ入出力、動画出力用のMini DisplayPort、セキュリティロックスロット、Surfaceペン用のスロットを追加できる。

 Surface 3でのMicrosoftの方針転換は、結果的に正しい判断だったようだ。Surface 3はSurface Pro 3よりも安価で、低価格のタブレットやノートPC向けとされるチップセットを採用しているが、それでもやはりプレミアムな端末だ。Surface Pro 3と同様、仕上がりと機能性は申し分なく、動作もスムーズで安定しており、Atomタブレットとしては性能も上々だ。ディスプレーも素晴らしい。キックスタンドも便利に使え、ポートの選択も実用的なものとなっている。

 こうした長所を考えれば、Atomプロセッサの限界については大目に見られる。Windows 8.1と主要アプリケーションがディスク容量を食いすぎている問題や、ベースユニットのRAMがたったの2Gバイトであるという問題にも目をつぶれる。

 アクセサリ類の価格については、そう簡単には目をつぶれない。タイプカバーはほぼ絶対に必要な追加アクセサリだが、その価格は法外だ。Surfaceペンも同様だ。Microsoftは少なくとも、これらのアクセサリについては、バンドル割引を提供すべきだったのではないだろうか(Surfaceペンループとドッキングステーションはその限りではない)。

 だが全てを加味すれば、Microsoft Surface 3は499ドルという価格に十分に値する製品だ。たとえ市場にはもっと安価な選択肢が溢れているとしてもだ。

長所

  • 卓越した仕上がりとデザイン
  • フルサイズUSBとキックスタンドで生産性が大幅に向上
  • 総合的に考えるとまずまずの性能
  • 素晴らしいディスプレー

短所

  • ベースユニットの2GバイトのRAMはこのクラスの端末にしては少ない
  • Windows 8.1と主要アプリがディスク容量を使いすぎ
  • 必要なアクセサリの価格が高すぎ

「Surface 3」製品情報

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