IT部門は最新技術を活用し、業務環境の改善や顧客満足の創出などでビジネスへ貢献することが求められている。だが期待に応えようとするIT部門が見落としがちな“落とし穴”も存在する。その正体と対策を示す。
クラウドやモバイルへの潮流が加速する中、企業のIT部門にも変革が迫られている。かつてのIT部門は、基幹システムをいかに安定的に稼働・運用させるかが主業務だった。だが現在では、各種テクノロジーを駆使して業務部門の要求に柔軟に対応し、新たなユーザーの獲得や新サービスの開発に貢献するなど、企業の競争力に直結する役割を期待されるようになってきている。その要望に応えられないIT部門は、必然的に業務部門からの信頼を失い、さらには経営層からも失望を買うことになる。
企業のIT部門が新たな期待に応えていくためには、求められる機能やサービスを迅速に実現できる柔軟で身軽なITインフラが不可欠だ。社内サーバやストレージの仮想化、プライベートクラウドへの移行などは、当然ながらその手段の一例として挙げられる。だがこうした一連のITインフラ見直しに当たり、実はある重要な要素を見落としてしまうケースが少なくないのが現状だ。
その“落とし穴”の正体とは何か。具体的な対策とは。IT部門が業務部門の期待に応え、成長の原動力になるための秘訣を解き明かしていこう。
システムインフラを見直す上で、多くのIT部門が見落としがちなのが、既存のネットワークが固定的かつ静的な構成になっているという事実だ。まずはこの従来型のネットワークを見直さないと、モバイル/クラウド時代に求められるスピード感に追従するのが不可能となりつつある。
仮想化の普及で、サーバリソースの準備に要する時間は大幅に短縮され、対応のスピード感は以前とは比較にならないほど高まった。だがそのスピードにネットワークが付いて来られず、足を引っ張ってしまうケースが頻繁に発生している。
例えば仮想サーバであれば、新しいサーバを準備するのに要する時間は今では数分程度だ。一方、このサーバのためにネットワークの環境整備をするのに数日から数週間を要する場合もある。これでは、せっかくの仮想化技術の恩恵が台無しだ。
とはいえ、実際に作業を担うIT部門にしてみれば、サーバだけが仮想化されてもネットワークインフラが仮想化されていない以上、ネットワークインフラの設定変更に要する時間は従来通りで何も変わらないのは、むしろ当然だという話になる。
ネットワークは回線速度こそ着実に向上し、現在ではクライアントPCでもGbpsクラスのインタフェースを標準で備えるまでになった。だが基本的なアーキテクチャに関しては驚くほど変化がなく、事実上20年以上にわたって何の進化も起こっていないという声さえある。
モバイル端末の普及でワイヤレス接続が主体となり、サーバさえも仮想化されて瞬時に接続され、移動していく。こうした現在のビジネス環境に対して、構成が静的で変更がめったに起こらなかった時代のネットワークのままで対応しようと考えること自体に無理がある。
米Brocade Communications Systemsが2015年に各国のCIO 200人を対象に実施した聞き取り調査では、実に75%のCIOが「ネットワークが問題だ」と回答している。既に現場では、従来の“古い”ネットワークの問題が明確に意識されていながら、対応が遅れている実態が見える。
提供:ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部/掲載内容有効期限:2017年2月9日