「帯域幅」という用語は正しくない:ロキ・ジョーゲンソンのネットワーク論
「帯域幅はどうやって測定すればいいのか?」――その答えは“帯域幅”という言葉で何を意味しているのか、そして何を求めているかによって異なる。
人々はよく、ネットワークに関する文脈において、帯域幅という言葉をあたかも正確な定義が存在するかのように使っている。だが、「帯域幅」は元々、電磁気学における周波数または波長の範囲を表す用語であり、ネットワークとは本質的な関係はなかった。長年にわたる誤用と意味上の変化の結果、今では帯域幅という言葉は、ネットワークパス(経路)に沿ってデータを送信する速度を指すことが多くなった。
「帯域幅は重要である」という点については、ほとんどの人は異論がないだろう。この場合の帯域幅は通常、ネットワークの一部の生のキャパシティーを意味する。しかし、帯域幅だけに注目して問題が解決することはまれだ。その理由の1つとして、パフォーマンスは鎖の最も弱い部分によって決定され、その部分が壊れることが一般的な問題の原因であるということが挙げられる。このため、別の部分に強い鎖の輪を追加する(例えば帯域幅を増やす)ことによって、エンド・ツー・エンドのパフォーマンスが改善されることはめったにない。
それでも次のように尋ねる人は多い――「帯域幅はどうやって測定すればいいのか?」、あるいは「(トラフィックを差し引いた)利用可能な帯域幅はどう測定するのか?」、「自社のネットワークのパイプの太さはどのくらいか?」と。こういった質問に対する短い答えは、「あなたが“帯域幅”という言葉で何を意味しているのか、そして何を求めているかによって異なる」ということだ。そして答えは……かなり長い説明になる。
仮に、帯域幅が重要であり、それが何を意味するのか、そして自社ネットワークの帯域幅を測定する方法を知りたいとしよう。まず、関連する用語を定義した上で、この目標にどれだけ近づけるか見ることにしよう。
現在、一般的に用いられている用語を断片的にリストアップしてみた。
- 帯域幅
- 容量
- ストリーミング速度
- ビットレート
- スループット
- グッドプット
- 転送速度
これらの用語の修飾語のリストには、「リンク」「エンド・ツー・エンド」「最大達成可能」「ピーク」「バルク転送」「定常」などが含まれるだろう。例えば、人々は「最大達成可能なエンド・ツー・エンド帯域幅」と「バルク転送容量」をどれほど厳密に区別しているだろうか。
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