Facebookは仕事にも役立つか?:実際にやってみた
「SNSの問題を語る前に、まず自分で参加を」ということでFacebookに加入して以来、友達は52人に増えた。わたしの日常はFacebookに忙殺されつつある(編集長には内緒だ)。しかし、Facebookは本当に仕事に使えるのかと首をかしげる人もまだ多い。
新しい友達が52人できた。
しかし、この人たちと何をしていいのか全然分からない。
CIOやIT管理者に対し、Facebookに加入すべしという課題を出してから3週間近くたつ。これはソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の潜在的なビジネスメリットを理解してもらうためだった。わたしの場合、友達が欲しいとも思った。
インビテーションの確認に追われ、質問に答え、グループに参加し、真の友達を作りながら、自分が楽しんでいるのか、それともSNS狂になりつつあるのか分からなくなった。
わたしの課題に参加してくれた人たちについては次のようなことが言える。
- 「友達」になった52人のうち、Facebookの既存ユーザーは約半数
- 友達の40人以上は40歳以上で、ほとんどが男性
- ほとんどはIT関連職に就いている
- 7人はブログを執筆
- 12カ国から参加している
- 整った容姿をしている
- IT責任者でヘリコプターの操縦もできる人が1人いる
- 所属グループは「Facebookの誰かとセックスした」「ITIL」など。わたしにとってはショッキングだが、これらは実在のグループだ。ITILグループには657人の参加者がいて、ビジネスプラクティスについてコメントを交わしている。もう1つのグループはチェックしなかった
- 活発に利用しているのは約20人のみ
- シェークスピアの熱狂的ファンが少なくとも4人いる
Facebookについて過去数週間で耳にした話の中で何度も出てきたのは、「これはソーシャルかプロフェッショナルか」という論争だった。
友達の1人、エリック・ハンソン氏は自分のプロフィールページで「Facebookはあなたにとって社交の場ですか、それとも仕事のためのものですか」と問い掛けていた。同氏のこれまでの経験では、仕事志向が強いLinkedInやPlaxoに比べてはるかに社交サイトの要素が強かった。
Facebookに“仕事のためのネットワーク”としての余地があるのは間違いないが、それは誰と友達になるかによると思う、というのがわたしの答えだ。わたしの得た知識から判断すると、ネットワークの相手に誰を選ぶかで、どんな種類のネットワークができるかが決まる。詰まるところ、トリビアクイズをひっきりなしに持ち掛けてくる相手がいたら、どうやって職業的側面を保てるだろうか。同時にこれは、自分のページをどう作るかにも左右される。どんなアプリケーション(ブログパーツ)を使っているのかにも。それに、結果がすぐに出るとは限らない。本物の友情や仕事のネットワークと同様、固いきずなを一夜にして結ぶことはできない。
過去数週間で友達になった人の中には、仕事用のネットワークとしてFacebookを使っている人も何人かいたが、ほとんどは社交目的で使っていた。その理由は恐らく文化によるものか、ユーザーがまだFacebookの潜在的可能性を活用できるほど使いこなしていないためだろう。
Facebookはソーシャルユーティリティとして構築され、アプリケーションやアクティビティもそのコンセプトが中心になっているとも言える。誰かに「かみつく」ことで仲間を増やしたり敵と戦う「Vampires」のようなSNSならではのゲームは非常に魅力的だが、かといって上司に「かみつき」たいと誰が思うだろう。
現時点で、キャリアアップのためにFacebookを使う動機はあまりないかもしれない。
しかし、米調査会社のGartnerはニュース報道の中で、(Facebookのような)SNSプラットフォームがSNSから一線を越え、「エンタープライズソーシャルコンピューティング」といわれるものになるのは時間の問題だと述べている。企業のビジネスプロセスニーズに対応したFacebookは存在しないが、Microsoft、IBM、Oracleといった企業が同社に関心を持っていることを考えると、社交と仕事のネットワークが共存するプラットフォームが開発されるのは時間の問題だとGartnerは予想する。
動きがあるのは間違いない。IT専門職の関心の度合いが変わってきているのも目の当たりにした。わたしは先週、ニューヨークで開かれたInteropカンファレンスでWiki、ブログ、SNSのセッションに参加した。会場は、新しいメディアを自分の職場にどう取り入れられるか知りたいという熱心なIT専門職でいっぱいだった。講演者は時間を使い果たし、これは将来有望だとわたしは思った。
Facebookを仕事に使おうと思うのは結構だが、忍耐強く友達は慎重に選ぶことが必要だ。ビジネス向けアプリケーション(311本あり、毎日新しいものが加わっている)もインストールしよう。履歴書を掲載したり、同じような仕事(例えばイベントプランナーの仕事)に就いている人を紹介してくれるアプリケーションや、LinkedInの連絡先を参照・共有できるアプリケーションもある。楽しみたいなら「Business Word of the Day」を追加してもいい。ただしFacebookのアプリケーション(7000本近くある)すべてに価値があるわけでなく、あまり評判の良くないものもあるので、慎重に選ぶことだ。
ネットワーク(テーマ別のコミュニケーショングループ)への参加でも同じことが言える。わたしは社交ツールとプロセスがテーマの「Social Networking in the Enterprise」に参加したところだ。先日は「IT」で検索し、202の関連ネットワークを見つけた。最初のページに表示された2件は「American Society for Information Science & Technology」と「CISA Certified Information System Auditors」だった。
Facebookは新しいメディア現象であり、それがどう進化するか自信を持って予想できる人は誰もいない。取りあえず取り入れることだ。現時点でそうしない理由があるだろうか。
このコラムの締めくくりに当たって付け加えておくと、1つのWebサイトで複数のSNSやユーザーコミュニティーを利用できるSNSプラットフォーム「MyLifeBrand.com」の説明会に参加した。魅力の1つは(実際に使ってみたわけではないが)、ユーザーがこれを使って誰に何を見せるかを簡単に決められる点だと思う。つまり理論的には、1つのプロフィールで2つの人格、社交用と仕事用の人格を持てることになる。Facebookのプライバシー設定とどう違うのかはよく分からないが、これからそれを、そしてほかの似たようなサイトもチェックしてみようと思う。こうしたサイトについてコメントがあれば知らせてほしい。
本稿筆者のケイト・エバンズ−コリーア氏はTechTargetのニュース担当上級ディレクター。
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