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理想のモバイル端末を求めて「1台で万能」は絵に描いたモチ

携帯電話を含め、高機能な携帯向けデバイスはいろいろ出ているが、外出先での仕事を「1台で」こなせるような理想のデバイスはなかなかない。それには根本的な理由がある。

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 どこに行くにも1台のモバイルコンピューティング/コミュニケーションデバイスだけ持っていれば済むなら、それに越したことはないだろう。だが残念ながら、これは理想論でしかない。

 できれば1台のモバイル(以下では、どこでも無線通信が利用できるものとする)コンピュータ兼コミュニケータだけを携帯したいと誰もが考えているのは、まず間違いないと思う。バッグは何個か電源アダプターを入れるだけですぐ満杯になる。コンピュータと携帯電話を幾つも買うとお金が掛かるし、どのデバイスにどの重要なデータが入っているかを覚えておいたり、常にすべてのデバイスを十分に充電し、同期して、きちんと機能させておくのは面倒で煩わしい。

 もちろん、あなたがガジェットフリークならこうした状況は至福に違いない。しかし、デバイスをただの道具として使う人にとっては、シンプルさが肝心なはずだ。理屈上、モバイルデバイス群は1台の高機能なユニットに集約されるべきなのだ。

 しかし、現実にはそれは根本的に不可能と言わざるを得ない。デバイスの1本化は絵に描いたモチだ。汎用のコンピュータ/コミュニケータが作られてしかるべきと思われている上に、30年近くにわたってそうした取り組みが数多く行われてきたにもかかわらず、この目標はいまだに達成されていない。正直言って、わたしは決して達成されないだろうと考えている。

 なぜか。根本的な問題は、モバイルデバイスの開発には矛盾する多数の要件があることにある。数学になぞらえると、方程式の数よりも変数が多い。つまり、解が定まらない状態だ。解は1つではなく、多様な解があることになる。

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