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最初に考えたい総勘定元帳の「松竹梅」:IFRS対応ITシステムの本質【第1回】
IFRSは企業の会計ルールや業務プロセスなど経営要素全般に影響を及ぼすが、ITシステムでは総勘定元帳が影響を受ける。IFRS対応システムで最初に考えたいのは総勘定元帳の「松竹梅」だ。
IFRSは各企業の会計ルールや業務プロセスなどの経営要素全般に影響を及ぼしますが、中でもITシステムは対応工数・プロジェクト期間の面で最も大きな影響を受けます。これから全2回にわたり、IFRSで変わるITシステム、特に影響の範囲が大きい会計システムについて論じます。第1回目は、IFRS対応を検討する上で必要となる情報構造やシステム化の選択肢について説明します。
IFRSで変わるITシステムの機能配置
IFRS対応はITシステムのデータや機能に多くの影響を与えます。通常のシステム構築プロジェクトで各検討領域別に新業務やシステム機能の設計を進めるのと同様に、IFRS対応も、また領域ごとに個々の検討工程の積み重ねが必須です。以下、システムの主要な検討項目です。
データ面
- IFRS勘定科目に対応した総勘定元帳や資産マスタの保持
- 資産取引を含めた各種業務伝票へのセグメント情報の保持など
機能面
- 収益認識基準への変更に合わせた出荷検収情報の取得
- 研究開発プロジェクト会計の実施/開発費の資産計上
- 固定資産簿価/償却計算方法の変更
- 機軸通貨の適用をはじめとする多通貨外貨換算機能
- IFRS調整仕訳機能/現行会計基準財務諸表との比較検証機能
- 英文会計への対応など
このような個別検討に入る前に、企業はまずはIFRSが求める以下2つの本質を理解し、ITシステムのあり方や範囲を的確にとらえ、情報の持ち方など骨組み部分を設計していくことが重要です。
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