失敗事例から学ぶ契約交渉術
次期ソフトウェアライセンス契約のために効果的なアプローチとは?
ベンダーにリードされるまま結んだライセンス契約で、わたしが犯したひどい過ちと予防策を紹介しよう。
わたしと同じ経験をお持ちの読者もきっと多いに違いない。ソフトウェアの選定に当たり、わたしはまず、徹底した評価チェックリストを作成した。次に、機能横断的な選定委員会を作り、候補となるソフトウェア会社数社を選ぶ。そこからさらに選択肢を絞り込み、コストとメリットを徹底分析し、選考経過を経営陣に説明し、最終決定を下した。そして、決定後は選んだソフトウェアのライセンスを最善の条件で利用できるよう、強い態度で交渉を開始した。
よく分かっていなかったころは、ベンダーにリードされるまま、いつか使うかもしれないと思ったライセンスすべてと、何かに使うこともあるだろうと思った個々の製品すべてを契約に盛り込んでいた(倉庫管理者は現在使っている倉庫管理システムに十分満足しているが、わたしが新しいベンダーから素晴らしい条件でゲットしたこの倉庫管理システムモジュールを見れば、使ってみたくなるに違いないと思っていた)。しかもベンダーは、決算前に契約を済ませた場合に限って大幅に値引きしてくれるという。もし次の四半期にずれ込めば、ベンダーはそこまでの値引きをする気にはならないと思った。
何度かこの方法で契約した後、自分がどれほどひどい過ちを犯していたか気付いた。まず、状況が大きく変化したので、いつか必要になるかもしれないと思って追加したライセンスは1つも使わなかった。次に、直近の計画にないモジュール用の合意ライセンスを含める必要もなかった。そして、値引きは決算期末に合わせる必要はなかった。次の四半期が始まってからようやく契約の準備が整った場合でも、値引率は変わらなかった。
つまり、わたしは相当の額を浪費して、一切使うことのないライセンスの価格交渉をしていたのだ。それ以来、わたしはソフトウェアのライセンス契約に関して、まったく異なるアプローチを取るようになった。以下にその一部を紹介する。
- 必要だと分かっているものだけ購入する
最新の調査結果によると、われわれが買ったライセンスの約40%は結局使わずに飾っておくだけの「シェルフウェア」と化している。よほど破格の値引きでもない限り、必要な分より40%も多くライセンスを買うことで生じる価格上の不利益は補えない。
- 契約交渉の際は、導入したライセンス分のみのメンテナンスとサポート料金支払いに同意する
確実を期すため、メンテナンス期間はライセンスを最初に稼働した段階からスタートするものとする(契約が成立した時点からとはしない)。こうしておけば、たとえソフトウェアの実装に半年かかったとしても、メンテナンスの年間料金は実稼働してから1年間有効になる。
- 購入済みのライセンスと同じ値引率が、追加ライセンスにも適用されるようにする
ライセンスがいくつ必要になるかはっきりしない場合は、保護条項の値引き交渉をして、その契約で購入済みのライセンスと同じ値引率が、追加ライセンスにも適用されるようにする。これは無期限が理想だが、わたしがこれまでに契約できたのは最大で1年半だった。
- メンテナンスとサポートについては合理的に判断する
こうした契約では実質的に、ソフトウェアを4、5年ごとに買い直すことになる(ライセンスの複雑さで名高い某超大手の場合は3年ごとになる)。たとえソフトウェアがほとんど変わっていなくても、サポートが標準以下であっても、この料金は支払う。場合によっては、単純に必要のない保険も払わなければならない。わが社は一部のアプリケーションについて、もうサポートは必要ないと判断した。稼働が安定し社内にノウハウがあるためだ。こうしたものについてはサポート契約を打ち切った。
また、アプリケーションの寿命が尽きかけていても、アップグレードを考えることはないと判断し、メンテナンス契約を打ち切ったケースもある。3年間のサポート・メンテナンス契約をさせるベンダーの場合、製品のリリースサイクル(平均して3年ごと)、新機能(どれもぜひとも欲しいものではない)、その会社の新製品をわが社が採用している状況(3年のリリースサイクルよりも長い)を調べ、3年ごとにその会社の製品を買い直す必要はないと判断した。次のバージョンへの移行を決めたときに新しくソフトウェアを購入すれば、経費の節約になる。わが社にとって、これはサポートとメンテナンスに関する合理的な判断だった。
以上の方法ではIQ(Installation Qualification:据付時適格性検証)をほとんど向上できないと主張する専門家もいる。確かにソフトウェアのライセンスに関しては、数年前に比べてIQは向上していないかもしれない。しかし、わたし自身は、今の方がずっと賢くなったと確信している。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略計画担当副社長。
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