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Windows 7移行に伴うOfficeデータ改変が法令違反に?企業デスクトップをWindows 7に移行するための5つのポイント(前編)

SP1のリリースで本格化した企業のWindows 7移行。これを確実に成功させる5つの重要なポイントのうち、前編では最初の2つを紹介する。安易な移行は法令違反を誘発する可能性があるので要注意だ。

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 Windows 7 SP1(参考:機能強化なしでもWindows 7 SP1が重要である理由)のリリースにより、企業のWindows 7移行も本格化してきた。

 本稿では、エンタープライズデスクトップをWindows 7に移行する上で重要となる5つのポイントについて解説する。今回は、一見地味ではあるが事前にしっかりと検討・準備をしておくことで後の工程に大きく影響する2つのポイントを紹介する。

1. インベントリ情報の収集:現在の社内資源を把握する

 Windows 7への移行作業がどの程度の労力を必要とするのかを知らなければ、プロジェクトの成功はおぼつかない。どの程度の労力を投入できるかによって、プロジェクトのスケジュール、アプリケーション修正の期間、パッケージングチームの規模、必要とされるテストなどが決まる。

 このため、全てのエンタープライズアプリケーションおよび既存のハードウェアのインベントリについて、できる限り詳細な情報を収集する必要がある。主な対象はデスクトップアプリケーションだが、メインフレームやサーバ用の多数のアプリケーションもPC用アプリケーションが動かなくなると影響を受ける可能性がある。また、あらゆるデスクトップのハードウェアを把握することが、Windows 7が使えるシステムとそうでないシステムを区別する上で不可欠だ。

クラウドベースのCMDB活用

 インベントリを管理するツールは何でも良いが、コアチームと支援チームの両方が同時にデータにアクセスできるものでなくてはならない。このため、最も適した製品がクラウドベースの構成管理データベース(CMDB)だといえる。この種の製品は、企業のサポート負担を減らすだけでなく、数時間で立ち上げられるというメリットもある。

 どの情報を収集するかを決めるに当たっては、ITIL(Information Technology Infrastructure Library)のCMDB規格が役立つ。収集するデータには、少なくともアプリケーションとその全てのコンポーネント、Windows 7の影響評価、全ての資産のデスクトップハードウェア構成を含めなければならない。また、バージョンレベル、アプリケーションのオーナー、その連絡先情報(プロジェクトの説明責任を明確化する際に必要となる)、アプリケーションの開発担当者、開発時期、廃止予定時期、ユーザー数、利用部門といった関連情報も含める必要がある。

 デスクトップの移行が完了すれば用済みとなる配布スキルや配布機能とは異なり、このデータベースは貴重な企業資産であり、プロジェクト終了後も保管しておく必要がある。そのデータは各種の報告書を作成する際のベースにもなる。データベースの作成に際しては、こういった大規模プロジェクトではどんな報告書がよく利用されるのか、また経営幹部から通常、どういった報告書が求められるのか、といったことを念頭に置けばいい。需要予測に基づき、設定した指標およびSLA(サービス品質保証)のベースとなるデータも利用できるようにしておくことも重要だ。

2. Officeデータも忘れずに──法令にも留意

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