ディズニーの社内プロジェクトでDWHのベストプラクティスが効果を発揮:ビジネス部門の視点でDWHに取り組むIT部門
米Walt Disney Parks and Resortsでは、一元化を進めているERPを財務報告やBIリポーティングにも活用したいと考えた。同社が実践しているDWH構築の4つのベストプラクティスを紹介する。
子どもに夢を与える米Walt Disney Parks and Resortsは、何千ものキャラクター商品のマーチャンダイジング業務を通じてアクショナブルインテリジェンス(ビジネス行動に結び付く有用な知識や洞察)を獲得している。社内プロジェクトでデータウェアハウス(DWH)の構築、運用をベストプラクティスに従って進めたおかげだ。
2010年に一部が完了したこのプロジェクトは、Disneyのグローバルなキャラクターマーチャンダイジング業務を、単一のERPシステムで一元的に管理することを目指している。このERPシステムの社内での愛称は「SIMBA」。SIMBAは、Single Integrated Merchandise Business Applicationの頭字語だが、Disneyの長編アニメーション映画「ライオンキング」に登場するキャラクターの名前でもある。
「われわれは、プロジェクトの名前でいくらでも遊べる」。Walt Disney Parks and Resortsのデータウェアハウジングアナリティクス担当ディレクター、ワン・ゴリチョ氏は、2011年3月にニューヨークで開催されたEnterprise Architecture and Data Warehousing 2011カンファレンスで行ったSIMBAプロジェクトについての講演でそう語った。
Disneyは、マーチャンダイジング事業で年間10億ドル近くを売り上げており、その業務の全ての情報を扱えるERPシステムを構築するのは難事業だと、ゴリチョ氏は語った。このため、Disneyはまず、プロジェクトの対象範囲を米国のテーマパークとウォーターパークに絞った。しかし、このシステムは最終的に、東京、香港、パリのパークに加え、上海に建設中の新しいパークもカバーすることになっている。
新たに一元化が進められているERPシステムは、商品管理、在庫管理、関連ビジネスプロセスに対応できるように設計された。しかしDisneyは、このシステムを財務報告やビジネスインテリジェンス(BI)リポーティング、ビジネスアナリティクスにも活用したいと考えた。このため、新しいDWHの構築が必要となった。
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「このプロジェクトにおけるDWHの目的は、アナリティカルリポーティングの大部分や主要ビジネスプロセスを支援することにある」とゴリチョ氏。「このDWHのデータから、多くの価値を引き出すことが求められている」
一元化が進められているERP、DWH、アナリティクスシステムは、Disneyの一部分野におけるキャラクター商品の在庫管理、販売実績分析、需要予測の改善に既に貢献している。Disneyがプロジェクトで採用した製品には、米SAS Instituteのアナリティクスソフトウェア(参考:BIを超えた分析力を企業文化に根付かせる「SAS Enterprise BI Server」)や、米TeradataのDWH製品が含まれる。
ゴリチョ氏は、このプロジェクトには、Disneyにとって初の幾つかの試みが含まれていたと語った。例えば、同社がキャラクター商品のエンタープライズDWHを財務報告に利用するのは初めてだった。そのため、Disneyチームはプロジェクトを進める中で、DWHに関するさまざまなベストプラクティスを実践し、その真価を知ることになった。ゴリチョ氏はカンファレンスで、これらのベストプラクティスについて説明した。
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