iPad対応電子カルテのメリットとデメリット:iPadで電子カルテ、ネイティブアプリと仮想アプリのメリットを比較(前)
ITに慣れ親しんできた医師の中には、Apple製品の愛好者が多い。そのため、自身の診療でもiPadを利用したいとの声も多く上がっているという。
医師や看護師の間では、一般消費者の間よりもはるかに急速にiPadの採用が拡大している。それに伴い、電子カルテ(EHR)システムをiPadで利用したいとの要望も高まっている(関連記事:孫社長も驚いた「医療現場のiPad/iPhone活用」最前線)。World Congress主催の第3回年次モバイルヘルスリーダーシップサミット(Annual Leadership Summit on mHealth)のパネルディスカッションでは、そうした指摘が相次いだ。そうした変化に伴い、CIOは苦しい選択を迫られることになる。iPad対応の電子カルテを実装するに当たり、ネイティブアプリを走らせるか、それとも仮想デスクトップを用いるかという選択だ(関連記事:CIOたちを悩ますiPad)。
メリットとデメリットはどちらにもある。仮想環境は無比のセキュリティを提供するため、結果的にはHIPAAコンプライアンスも提供される。その代わり、速度の他、iPadやiOSのタッチスクリーン向けに最適化された各種の機能は活用できない。
一方、iPad対応のネイティブなEHRシステムであれば、iPadの設計に合わせやすいため、スクロールやページめくりなど、iPadの頑固な信奉者が「生産性の向上につながる」と信じて疑わないような各種の機能をサポートできる。ただしiPadが紛失や盗難に遭った場合、ネイティブアプリはリスクをもたらしかねないため、より強固なセキュリティ対策が求められる。またネイティブアプリは開発やカスタマイズを院内で行うためのリソースが必要となるが、そうした余裕のない病院も多いはずだ。
カナダの総合病院Ottawa Hospitalで上級副社長兼CIOを務めるデール・ポッター氏によれば、いずれにせよ、スタッフの賛同を得られるのなら、iPad対応の電子カルテの導入は非常に経済的だという。「こうした端末は600ドル程度で手に入る。聴診器など、医師らが持ち歩いている医療機器の中には、それよりはるかに高額なものもある」と同氏。
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