クラウドが変えるモバイルアプリ開発【前編】
モバイルクラウドアプリ開発前に検討すべき7つのポイント
モバイル端末で扱うデータ量の増大に伴い、クラウドの能力を生かしたモバイルアプリの重要性が高まる。前編は、クラウドを利用したモバイルアプリ開発で検討すべき点を示す。
アプリケーションやデータがクライアント端末からサーバに移動しつつある現状を踏まえると、クラウドコンピューティングとモバイルコンピューティングは並列的なテクノロジーといえる。モバイル端末で社内アプリにアクセスするユーザーが増えるとともに、処理すべきデータは飛躍的に増加する。そうしたデータの奔流は、バックエンドシステムにおけるコンピュータリソースのニーズを拡大させるだろう。クラウドは、サーバコンピューティングのスケールを拡張する効率的な手段だ。
「モバイルクラウド」は基本的に、モバイル端末を管理する機能が追加されたクラウドだ。多くの企業は、従業員がスマートフォンやタブレットを使い、電子メールや予定表にアクセスすることを許可している。しかし、従業員がこうしたモバイル端末でミッションクリティカルなアプリや企業の機密データにアクセスすることを許している企業は非常に少ない。モバイル端末との互換性を持つように設計されたミッションクリティカルなアプリはほとんどないのが実情だ。
国際的海運業者のMatson Mavigationをはじめとする一部の先進的なユーザー企業は、自社の顧客がiPhoneやAndroid搭載スマートフォンを使って運送スケジュールにアクセスしたり、コンテナの輸送状況を知らせるメールを受け取るアプリを開発している。それらはモバイル端末にデータを表示することはできるが、ダウンロードはできないという典型的なアプリだ。
モバイルアプリ開発を再考する
モバイル端末の統合化を目指す企業は、アプリの設計や開発、管理、保守を再検討する必要がある。例えば、次のようなことを決定しなければならない。
- モバイルアプリの開発主体は社内チームか、それともサードパーティー開発業者か
- サポートするモバイル端末の種類
- アプリをホスティングする場所
- モバイル端末利用のための安全な環境の構築
- 遅延対策計画の立案
- モバイルアプリ環境をサポートするインフラのタイプ
- モバイルオンリーあるいはモバイルファーストにするか(この場合、モバイル端末はクライアントPCとは別扱いとなり、専用の環境を用意する必要がある。もし扱いを別にしないなら、何を最初に開発すべきか)
モバイル端末でデータセンターのデータにアクセスするアプリを開発したいなら、最初にモバイルアプリを開発し、その後にクライアントPCに移植するネイティブアプローチがベストだ。このアプローチの場合、開発の際にGPSなどのモバイル端末機能を活用することが可能になる。ただし、アプリをクライアントPCに移植するときは、モバイル端末と同等の機能が利用できない可能性があることに注意しなければならない。
モバイル端末やクライアントPC用のアプリを最初に開発するよりも、データセンターのサーバで実行し、データはデータセンターにストアするアプリを開発した方が悩みは少ない。この場合、モバイル端末のWebブラウザ経由でアプリにアクセスすることになる。
モバイル端末指向の世界は、職場環境の分散化を加速するだろう。従業員は複数の端末を所有し、IT部門やアプリ開発者はそれぞれのフォームファクタで動作するアプリの開発に挑戦することになる。
モバイルクラウド向けのアプリ開発時に検討すべきもう1つの問題はユーザビリティだ。Webベースを含め、iPadのような画面の大きいタブレット向けに開発されたアプリの多くは、他のモバイル端末で利用できない。同様に、特定のモバイル端末を前提に設計されたアプリは他のモバイル端末では動かない。
こうした場合に役立つのがモバイルプラットフォームだ。Sybase Unwired Platformなどのモバイルプラットフォームは、モバイル端末の種類にかかわらず複数のモバイルアプリを管理できる(Sybase Unwired Platformについては「オラクルとSAPのモバイルBIが実現する「真のリアルタイム」、それぞれの意味」を参照)。
後編は、モバイルクラウドのインフラ管理で注意すべきポイントやモバイルアプリの将来像について解説する。
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