東日本大震災の反省を生かし、救急患者の最適な搬送をITで実現:「GEMAP市民フォーラム」リポート【前編】
GEMITSアライアンスパートナーズは3月11日、「平時から災害時に耐え得る医療を目指して」と題した市民フォーラムを開催。災害・救急医療におけるIT活用例の紹介や復興に向けた提言などを行った。
最適な医療チームとのマッチングが重要
東日本大震災発生からちょうど1年を迎えた2012年3月11日、GEMITSアライアンスパートナーズ(以下、GEMAP)は「平時から災害時に耐え得る医療を目指して」と題した市民フォーラムを開催した。GEMAPは、2009年から実施されている救急医療体制支援システム構築プロジェクト「GEMITS」の普及促進を目的として設立されたコンソーシアム。岐阜大学を中心に沖電気工業、デンソー、インターネットITS協議会などが参加し、幹事会員企業7社と会員企業、大学・研究機関など20の団体で構成されている(2012年3月現在)。
本稿では、GEMAPの会長を務める小倉真治氏(岐阜大学大学院医学系研究科教授)の基調講演の中から、災害・救急医療におけるIT活用と復興に向けた提言などを紹介する。
小倉氏は、内閣府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の「医療情報化に関するタスクフォース」の座長を務めるなど、救急・災害医療の発展に長年取り組んでいる。救急・災害医療の特徴として、小倉氏は「患者の病態が急激に変化し、さまざまな作業を同時進行する必要がある」「時間的な制約が厳しく、緊急性が高い」にもかかわらず、患者が意識不明になっているなど現場で得られる情報が極端に少ないと説明する。そのため、対応手順を明確にした業務の効率化が求められており、それをサポートするITの役割は大きいという。
また、一般的にICT(情報通信技術)の「I」は「Information」といわれているが、広辞苑の「情報」という用語の定義では「ある事柄についての知らせ(Information)」と「判断を下したり行動を起こしたりするために必要なさまざまな媒体を介して得られる知識(Intelligence)」の2通りの解釈があることを紹介。「緊急時など時間の制約がある中では、判断や行動を起こすために必要な情報がなければ対応できない」とし、ICTの「I」は「Intelligence」と定義できると説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.