特集/連載
災害時でも機能した医療システムの特徴:震災で医療ITは何ができたか?【前編】
災害時の体験を踏まえ、医療提供体制の見直しや医療ITの在り方などの議論が行われ始めた。妊婦の安否確認に貢献した岩手県の周産期医療情報ネットワークの講演内容を紹介する。
東日本大震災から復興に向けた取り組みが進められている中、「被災時の体験を踏まえて、今後の医療提供体制をどう改善していくべきか?」という議論が行われ始めている。地域医療福祉連携協議会は2011年7月、「震災復興に、地域医療ITは何ができるか?」をテーマとするシンポジウムを東京医科歯科大学で開催した。岩手県大船渡市、宮城県気仙沼地域、石巻市で災害医療を行った医療従事者3人が自身の体験を踏まえ、災害時の医療ITの機能状況や今後の課題に関する講演を行った(関連記事:被災した医療従事者が果たすべき役割とは)。
地域連携型周産期医療情報ネットワーク「いーはとーぶ」
岩手県の県立大船渡病院では、県南部の沿岸地域で医療情報ネットワークシステム「いーはとーぶ」システムをベースに周産期妊婦診療における地域医療連携を実施している。ITを活用した遠隔妊婦診療によって、産婦人科医が常勤していない県立釜石病院、遠野市助産院と連携し、身近な地域で妊婦が検診を受けられる体制を提供。また、各医療機関の院内システム、緊急時の地域周産期母子医療センターへの搬送システムなどと連携している。
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