これがIT部門を強くする――富士フイルムグループの組織変革を見る:ガートナーイベントリポート
強いIT部門を作るにはどうすればいいか。事業のグローバル化が急速に進む中で富士フイルムグループはこの難問に挑んでいる。ガートナーのイベントで語られた講演からIT部門変革のヒントを探る。
「IT部門を変革することで富士フイルムグループの経営に貢献する」。4月26日に開催されたガートナージャパンのイベント「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンター サミット 2012」で講演した富士フイルムコンピューターシステム(FFCS)の代表取締役社長 矢嶋 博氏はこう語った。富士フイルムのIT部門が分社化して生まれたFFCSはどのようなIT部門改革で自らの価値を向上させ、グループ全体への貢献を行っているのか。講演の概要をお伝えする。
富士フイルム ホールディングスは、富士フイルムや富士ゼロックスなど事業会社の持ち株会社で、グループ全体を統括している。富士フイルムグループの連結売り上げは約2兆2200億円に上る。連結の従業員数は約7万9000人、連結子会社は約240社という国内有数の企業グループだ。同グループは国際的な競争激化を受けて、新規事業への投資や企業買収、さらなるグローバル化の進展など、攻めの経営を推進している。その中でFFCSは富士フイルムグループ全体のIT戦略策定や推進を担っている。
FFCSが推進しているIT部門変革は3つのテーマに分けることができる。「グローバル全体最適」「IT投資の最適化」「上流工程要因の増強」だ。
システム標準化、統合で「1つの会社のように」
グローバル全体最適が目指すのは「240の会社があたかも1つの会社のように機能するように、各社のIT組織を統合する」(矢嶋氏)ことだ。従来はそれぞれの会社がITシステムを導入し、独自の方法で運用してきた。この方法を改めて、グローバルでITシステムや運用を標準化する計画だ。
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