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ビッグデータを生かすコツは「管理」でなく「分析」にありデータ量はビッグデータの本質ではない

大量のデータをどう保存し、管理するか――。データ量のみを意識したこうした議論にとどまっていては、ビッグデータを生かすことはできない。重要なのは「分析」の視点だ。

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 ウィリアム・シェークスピアの古典『ロミオとジュリエット』において、ロミオの友人マキューシオは、竜巻のような勢いで舞台に登場する。彼が最初に登場するシーンでは、ふさぎ込むロミオを前に、気の利いたせりふや駄じゃれ、女王マブに関する有名な話によって難事を成し遂げた。悲しむロミオを説得し、舞踏会に誘うことに成功したのだ。そして、ここから劇が動き始める。

 「ビッグデータ」という言葉は、まるでマキューシオのようにアナリティクスとビジネスインテリジェンス(BI)のシーンに猛烈な勢いで登場した。そしてビッグデータには、「3つのV」という派手なキャッチフレーズを伴うことが多い。3つのVとは、Volume(量)、Velocity(発生速度や更新頻度)、Variety(多様性)を指す。ビッグデータがかつてない勢いで業界に普及したことは、多くの専門家の一致した見解だ。普及に伴って新しい技術や手法、ビジネスモデルが出現した。

 業界がビッグデータに夢中になっていると考えている専門家の中には、「盛り上がる期待感と過度の宣伝は、誤った認識を生み出している」と指摘する人もいる。例えば、データはこれまで常に“ビッグ”であり、これからもそうであり続けるはずだ、といった認識だ。「ビッグデータは一般的に、データ管理の問題と考えられている。だが最も重要なのは、データを使って実行する処理(アナリティクス)だ」と専門家らは語る。

 米コンサルティング会社BI Researchの創業者のコリン・ホワイト社長と、米IBMでビジネスアナリティクスソフトウェアを担当するディレクターのハリエット・フライマン氏は、2012年7月に開かれた第11回年次イベント「Pacific Northwest BI Summit」のプレゼンテーションで、こうした誤った認識に言及した。

 「問題は、米eBayや米Yahoo!でのユースケースやペタバイト、3つのVといった話ばかりが紹介されることだ。私に言わせれば、これはユースケースのほんの一部にすぎない」とホワイト氏は語る。「私が最も強調したいのは、ビッグデータは単に量の問題ではないということだ」

2つの役割で定義されるビッグデータ

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