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【製品動向】デスクトップ仮想化を見据え、高性能化するミッドレンジ向けストレージ階層化やデータ配置の自動化などの機能を搭載

最近、導入コストを抑えながら、ハイエンド向け機能を継承するミッドレンジ向けストレージ製品が市場に提供され始めた。最新動向をまとめた。

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 米調査会社IDCが2012年9月に発表した、『2012年4〜6月期の世界ディスク・ストレージ市場』によると、ディスクストレージシステム全体の売り上げは前年同期比で8.0パーセントの伸びとなった。特に、ミッドレンジ向けストレージが最も急速に成長していると分析する。最近、主要なストレージベンダー各社が同クラスのストレージ新製品を相次いで発表している(関連連載:SMB向けストレージ製品紹介)。本稿では、ミッドレンジ向けストレージの最新動向を示す。

 高い処理性能や拡張性を実現するため高価なハードウェアを搭載するハイエンド向けストレージと比べ、ミッドレンジ向けストレージはある程度拡張性を限定し、高いコストパフォーマンスが得られるアーキテクチャ設計が多かった。しかし、最近では導入コストを抑えながら、これまでハイエンド向けに提供してデータ圧縮や階層化、重複排除などの機能を搭載する製品を提供し始めている。

デスクトップ仮想化にも最適なストレージが求められる

 ミッドレンジ向けストレージ製品が高性能化する要因の1つに「デスクトップ仮想化の導入」が進んでいることが考えられる。デスクトップ仮想化は、クライアント端末の管理運用の効率化やセキュリティ対策、従業員のワークライフバランス、事業継続性などにメリットがある。これまでは大企業での導入が中心だったが、最近では中堅・中小企業にも浸透しつつある。特にサーバ仮想化が本格的な普及段階に入り、導入企業が仮想化のメリットを実感した上でデスクトップ仮想化を検討しているようだ。

ストレージがネックとなりやすいデスクトップ仮想化環境

 しかし、デスクトップ仮想化におけるストレージの課題が幾つかある。まず「ストレージの処理性能の問題」だ。その代表的な例が、多数のユーザーが同時にログインすると大幅な速度低下が起こる「ブートストーム」だ。午前8時から9時の時間帯に従業員の出社が集中し、クライアントを一斉に起動ことで発生する。大量のストレージI/Oが集中的に発生し、ストレージサブシステムの処理が追い付かなくなるのだ。

 次に「ストレージ環境の構築コストと作業負荷」が考えられる。ユーザー分の仮想デスクトップのイメージを格納するために、より多くのストレージ容量が必要となる。また、規模が大きくなるほど、デスクトップイメージ構築のために管理者の作業時間や負荷が掛かる。

 そうしたデスクトップ仮想化におけるストレージの課題を解決する方法には、SSD(ソリッドステートドライブ)を利用した「ストレージの階層化」や「データの重複排除」などがあり、ミッドレンジ向けストレージにもそれらの機能が搭載されるようになった。

デスクトップ仮想化に最適なストレージ ネットアップ

 ネットアップは11月、ミッドレンジ向け製品群「FAS3200」シリーズの新機種「FAS3220」「FAS3250」を発表した。FAS3200シリーズは、データ重複排除やクローン機能「FlexClone」、フラッシュ技術に対応するのが特徴だ。FAS3220は従来機種(FAS3210)と比べて、システムメモリを3倍(8Gバイトから24Gバイト)、プロセッサコア数を2倍に拡張し、最大80%の性能向上を実現している。また、ストレージ容量は最大で2.16ペタ(P)バイト。同社は「デスクトップ仮想化に最適なストレージ」と位置付け、その最小販売価格を382万円(税別)とし、従来機種の795万円(同)と比べて値下げして提供している。

ミッドレンジ向け最上位機種を販売 NEC

 NECは11月、SAN(Storge Area Network)対応のミッドレンジ向けストレージ「iStorage Mシリーズ」の最上位機種「iStorage M700」を提供開始した。従来と比べてCPU数を2倍、内部バス帯域を4倍に強化した。また、複数のI/O命令をまとめて高速に処理する同社独自のRAIDアクセラレータ技術を搭載し、ストレージ内部処理を多重化する。これらにより、従来比で約3倍の性能を実現するという。ストレージ容量は従来比で2.5倍となる最大2.2P(ペタ)バイトまで拡張可能。

 加えて、データの特性やアクセス頻度に応じて自動的に最適な記憶領域にデータをブロック単位で移動させる「データ最適配置機能」を提供(オプション)。自動的にストレージの最適化が行われることで、ストレージの性能設計が難しい場合でも事前設計や稼働後の性能チューニングに手間を掛けることなく、運用効率の向上に貢献できるとしている。iStorage M700の販売価格は、1765万円から。

5秒単位でデータを自動階層化 ドットヒル

 Sun Microsystems(現Oracle)やHewlett-Packard(HP)などに製品をOEM供給してきたドットヒルシステムズは11月、ミッドレンジ向けSAN(Storage Area Network)ストレージの新製品群「Pro 5000シリーズ」を発表した。

 Pro 5000シリーズは、NL-SAS、SAS、SSDなど異なる種類のドライブが混在可能。SSDをキャッシュとして活用したり、2または3階層のストレ―ジを構成できる。さらにデータの高速アクセスやリアルタイムでの自動階層化、ストレージの仮想化などを実現するソフトウェア群「RealStor」を搭載した。RealStorの自律型階層化機能「RealTier」ではデータアクセスを5秒単位で監視し、アクセス頻度の高いデータを特定。4Mバイトのページ単位で最適な階層に自動配置する。Pro 5000シリーズの参考価格は、1265万1000円から。

仮想化機能を多く搭載 日立製作所

 日立製作所はミッドレンジ向けユニファイドストレージ「Hitachi Unified Storage 100 シリーズ」を提供している。HUS100シリーズは、同社のミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」の後継機種として位置付けられている。ブロック/ファイル両方のアクセスプロトコルに対応し、データ種類が異なるアプリケーションからのアクセスを単一システムに集約して管理する。その最大ストレージ容量は2.8Pバイト(HUS150の場合)。

 また、ボリューム容量仮想化機能「Hitachi Dynamic Provisioning」やストレージ階層仮想化機能「Hitachi Dynamic Tiering」などでストレージ容量の効率的な利用を支援する。同社によると、AMS2000シリーズと比較した場合、最大ストレージ容量が2倍、データ転送性能が3倍まで向上したという。HUS100シリーズの販売価格は、157万5000円から。

 その他にも、EMCはミッドレンジ向けストレージ「VNXシリーズ」の新機能として、ストレージプール機能を強化。例えば、フラッシュにはRAID 5を、NL-SASにはRAID 6といったように、複数のRAIDタイプを柔軟に組み合わせることができる。

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