階層型ストレージツールのメリット
情報ライフサイクル管理(ILM)を支える階層型ストレージ
情報ライフサイクル管理(ILM)を目指す企業にとって、自社に合致するソリューションを見つけるのは大変だ。本稿では、経済的かつ効果的に達成する上で、階層型ストレージツールがどのように役立つかを説明する。
階層型ストレージツールは、さまざまなカテゴリーのデータをさまざまなタイプのエンタープライズデータストレージメディアに割り当てることで、ストレージコスト全体を削減することを目的としている。階層型ストレージは、完全な情報ライフサイクル管理(ILM)ソリューションではないが、ILMにおける分類整理と階層管理の成功に重要な役割を果たす。実際、あるベンダーはこう述べている。「ILMで肝心なのは、適切なストレージを適切なタイミングとコストで使うことだ」
3PARやEMC、日立データシステムズ(HDS)は、ストレージアレイ内でデータの階層化を行う仮想LUNコンポーネントを提供している。このコンポーネントを使えば、あらかじめ設定したポリシーやI/Oパターンに基づいて、高性能ディスクに保存されたデータをオンラインで低性能ディスクに移行したり、その逆の移行を行ったりできる。
これらストレージベンダー3社は、いずれも何らかのオンラインLUN移行技術をサポートしている。どのベンダーの移行技術でも、ストレージを監視し、あらかじめ設定されたポリシーに基づいてLUN移行を開始する独立したハードウェアか仮想マシン(VM)が必要になる。
ソフトウェアソリューションについて見ると、3PARは「Utility Data Lifecycle Management(DLM)」という製品でストレージ階層化を実装している。Utility DLMは、テンプレートや仮想コピー、リモートコピーサービスを使って、ローカルとリモートの両方で、アレイ上の階層間でデータを移行する。Utility DLMソフトウェアはLinuxまたはWindowsワークステーションで動作し、負荷が重い処理はすべてアレイ上で行われる。
EMCの仮想LUNテクノロジーでは、RAIDレベル間、ディスクタイプ間でデータをシームレスに移行できる。EMCの「Symmetrix V-Max」を使っているユーザーの場合、仮想LUNテクノロジーは「Symmetrix Management Console」(以下、SMC)で管理できる。また、EMCの「FAST(Fully Automated Storage Tiering:自動階層化)」と「CLARiiON(日本名CLARiX)」用の「Navisphere Management Suite」(以下、NMS)を利用すれば、Clariion CX-4ラインでポリシーやデータアクセスパターンを基に仮想LUN移行を管理できる。SMCもNMSも、利用にはWindowsホストが必要だ。
HDSもソフトウェアベースの階層化ソリューションを提供している。「Tiered Storage Manager」というシンプルな名前が付けられたこのソリューションは、仮想化されたストレージプール内で階層間でのLUN移行をサポートする。このプールには、HDSのストレージアレイプラットフォームである「USP(Universal Storage Platform)」に接続されたほかのベンダーのアレイも含めることができる。
外部階層型ストレージツールとしては、IBMの「SAN Volume Controller」(以下、SVC)、EMCの「Invista」、HDSのUSP-Vなどがある。
SVCは、IBM System xの技術に基づく“I/Oエンジン”アーキテクチャを採用しており、SANストレージのフロントエンドとして機能する。どのベンダーの製品かにかかわらず、任意のFibre Channel(FC)ストレージアレイのフロントエンドを担うことができ、フロントエンドでiSCSI接続とFC接続を提供する。LUNはバックエンドアレイ内およびアレイ間でシームレスに移行でき、異なるベンダーのストレージを使う環境では、階層ごとに特定のベンダーのストレージで統一することも可能だ。
EMCのInvistaも外部ノードを利用するが、インテリジェントSANスイッチ(またはラインカード)も利用する仕組みになっており、バックエンドアレイ上の各LUNが仮想アドレスを持ち、そのアドレスがホストに提示される。EMCは、このソリューションは、Open Shortest Path First(OSPF)モデルのレイヤー2で動作すると考えており、「ネットワークベースのボリューム管理」を実現すると宣伝している。
HDSのストレージアレイのハイエンドラインであるUSP-Vでは、LUNの仮想化はストレージコントローラー内で行われ、外部コンポーネントを必要としない。ユーザーは通常、EMCのNMSやSMCに相当するHDSのHi-Commandサーバを併用する。LUNの移行にはHi-CommandとTiered Storage Managerが必要であり、この移行はホストの動作に支障を与えることなく、アレイ間でオンラインで行える。
以上で説明したツールはすべて、SANのインフラレベルのコンポーネントであり、ILMに役立つのは間違いない。どのツールも、アプリケーション、期間、コストの要件に従って設定されたポリシーに基づいて動作するほか、ストレージセントリックであり、データのライブ移行を透過的にサポートする。ストレージ階層化ツールが受け入れられ、活用されるには、このツールのユーザーエクスペリエンスへの影響をできるだけ小さく抑えなければならない。ストレージベンダーの製品展開は、ベンダー各社がこうしたツールの提供により、IT部門のILMへの取り組みを支援できることをよく示している。
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