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“日立の運用ノウハウ”を簡単に導入・活用できる「JP1 Automatic Operation」運用自動化製品紹介【第1回】

仮想化、クラウドの浸透によりシステム基盤が複雑化する一方、IT部門の人材は年々減らされている。リソース、ノウハウ不足に悩む運用管理現場に、統合運用管理製品ベンダーはどのような解を用意しているのか。

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統合運用管理製品の「運用自動化機能」を探る

 市場競争の激化とコスト削減のトレンドを受けて、業務を支えるITシステムの運用にも一層の効率化が求められている。だが、仮想化クラウドの浸透によりシステム基盤が複雑化している上、運用管理スタッフは減らされる傾向にある。運用ノウハウの属人化やノウハウを持つ人材の不足に悩む企業も多い。

 こうした中、多くの企業の注目を集めているのが、ITシステムの運用自動化だ。従来もジョブスケジューラを使うなどして、パッチ適用などのルーチンを自動化する取り組みは行われてきたが、昨今は仮想サーバプロビジョニングのように、「複数の作業プロセスを、複数のツールを使って行う作業」も求められている。そうした複雑な作業も自動化することで運用管理の効率化を狙おうというわけだ。

 本連載では、運用自動化機能にフォーカスして、国内でシェア上位を占める統合運用管理製品ベンダー7社を取材。今回は日立製作所(以下、日立)が2012年10月に発表した「JP1 Version 10」を紹介する。

日立のノウハウを反映したコンテンツでベストプラクティスを提供

 日立では、仮想化、クラウドによるシステム基盤の複雑化、人材不足、スキル不足といった課題を見据え、JP1 Version 10で運用自動化製品「JP1 Automatic Operation」を新たにラインアップに加えた。

 JP1 Automatic Operationは、「ベストプラクティスに添った運用を、誰でも簡単に」という考え方の下、仮想サーバのプロビジョニングなど、オペレータが運用手順書を見ながら手動で行っていた煩雑な作業を自動化する製品だ。例えば仮想サーバのプロビジョニングの場合、仮想サーバのメモリ、コア数の設定やストレージのプロビジョニング、仮想サーバの作成、OSの初期設定といった一連の手順がある。こうした作業は複数のソフトウェアを使って行う必要がある他、複数の運用手順書を参照する例も少なくない。そうした運用手順をJP1 Automatic Operationに入力、設定しておけば、使用するコア数など、人の判断が必要なステップ以外、全ての作業を自動化できるという。

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図1  JP1 Automatic Operationのメリット。運用を自動化すれば作業の効率化とともに標準化、品質担保も狙える

 特徴は大きく分けて2つ。1つは統合運用管理製品やSI案件で数多くの実績を持つ日立のノウハウを生かし、典型的なオペレーションのパターンをテンプレート化していること。そのまま利用することもできるが、自社の運用に合わせてカスタマイズすることで、自社の慣習に即した効率的な手順を短時間で設定、自動化できる。

 「運用自動化は外資系ベンダーの製品を中心に、日本国内でも2009年ごろから企業の関心を集めてきた。しかし運用自動化製品を導入する際、システムに正しい手順を設定するためには、まず運用手順を細かく見直したり、属人化している作業ノウハウを明文化したりしなければならない。多忙な運用現場においては、この手間が自動化製品導入の大きなハードルになっていた。そこで弊社では運用現場で求められる“典型的かつ実用的なコンテンツ”を厳選して提供している」(日立 ITマネジメントソリューション開発部 主任技師 加藤恵里氏)

 2つ目はテンプレートの粒度に配慮していること。「仮想サーバの追加・削除」「仮想サーバスペック変更」「運用ユーザー追加・変更・削除」など、「扱いやすい粒度とすることでJP1 Automatic Operationの導入のしやすさに配慮した」という。

 例えば、外資系ベンダーの運用自動化製品の中には、ユーザー企業が自社に即した自動化シナリオを設定しやすいよう、シナリオ設定のための部品を数千個用意している例もある。だが、そのために自動化製品の導入・設定に、時間・コストが掛かってしまうなど、多数の部品を使いこなせない例も多い。日立ではそうした例も考え、「自動化コンテンツの粒度に配慮し、導入しやすく、使いやすいよう配慮した」という。

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図2 「仮想サーバの追加」など、多くの企業でよく使う実用的なコンテンツを用意。自動化のために運用手順書をイチから整備することなく製品を導入できる《クリックで拡大》

 2012年11月現在、コンテンツは「仮想サーバの追加・削除」「システム監視製品の一括設定」「運用ユーザー追加・変更・削除」など30種類。今後、コンテンツを随時拡充していき、JP1のサポートサービス契約者向けWebサイトからダウンロード提供していくという。また、加藤氏は「誰が、いつ、何を実行したかといった作業ログを残すこともできるため、過去の運用実績を基に、運用管理を効率化する手掛かりが得られる点もポイントだ」と付け加える。

毎日行う定型業務をGUIで簡単に定義。条件分岐も可能

 一方、ジョブスケジューラ、「JP1 Automatic Job Management System 3」は、複数の単純作業が連携した定型業務を自動化する製品だ。例えば、システム電源の投入/切断、バックアップ処理など、日々行う単純作業を自動化できる。「データを集計したら、すぐにファイルを送信する」「各拠点で集計したデータがそろったら、全体の集計をする」など、任意の条件を設定して作業を自動化することも可能だ。

 特徴は大きく分けて2つ。1つはGUIツール「ジョブネットエディタ」を使って、複数のジョブの実行手順を、フローチャートを描くように容易に定義できること。異常終了時だけ実行するジョブやジョブネットも定義可能な他、ジョブの一覧をCSV形式で出力することもできるなど、管理の確実化に配慮している。

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図3 GUIツール「ジョブネットエディタ」を使って、複数のジョブの実行手順を、フローチャートを描くように容易に定義できる《クリックで拡大》

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