企業ITとクラウド基盤、最大の違いはアプリケーションにあり:企業ITとパブリッククラウドの違い【後編】
パブリッククラウドプロバイダーとユーザー企業ではITのアーキテクチャの在り方が大きく異なる。アプリケーションレイヤーではどのような違いが見られるのか。米Gartnerの調査担当者が語る。
前編「Gartnerが語る、企業ITはパブリッククラウドに近づけるのか」では、パブリッククラウドプロバイダーとユーザー企業のアプローチの違いについて、サーバ、ストレージ、仮想化、データセンター設備といった観点で比較した。後編ではアプリケーションと継続性の観点で比較する。
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アプリケーション
前編「Gartnerが語る、企業ITはパブリッククラウドに近づけるのか」で紹介した革新的手法はいずれも、アプリケーションの設計に対するパブリッククラウドプロバイダーのアプローチが従来と大いに異なることに起因するものだ。
米Gartnerの調査担当副社長レイ・パケット氏は、「クラウドで真に変革的なレイヤーはアプリケーションレイヤーだ。アプリケーションレイヤーがわれわれをクラウドに向かわせ、われわれに最大のアジリティを与えてくれる」と語る。
クラウドアプリケーションと一般的な企業アプリケーションでは、作業負荷が根本的に異なる。クラウドアプリケーションはスケールアウトでき、互いにデータを共有せず、ステートレス(Stateless)で非同期通信を行うよう設計されている。それにより、結果的に一貫性が保たれ、結果整合性(イベンチュアルコンシステンシー)を実現できる。クラウド設計者はパフォーマンス強化のためにアプリケーションの階層化やキャッシングを用いる他、SSDやFlashなどのハードウェアを追加して、パフォーマンスとレイテンシを改善する。
ただしここでも、環境を過剰に整備することのないように、リソースを賢明に使うことが重要となる。
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