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機能強化された「Hyper-V 3.0」、管理者が気になる3つの疑問特に重要な改良点を解説

Windows Server 2012とともに登場した「Hyper-V 3.0」には、さまざまな改良が盛り込まれている。特に重要な機能である、仮想ディスクファイル、仮想マシン管理の自動化、仮想マシンデータの保護に関して、改良の疑問にお答えする。

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 サーバ仮想化は、データセンターにとりわけ大きな影響を与えた技術の1つだ。仮想サーバの中核をなすのがハイパーバイザーだ。これは、システムの物理的なコンピュータリソースを仮想的なリソースに変換し、これらのリソースを個々の仮想マシン(VM)に割り当てて管理する機能を提供する。しかしコンピュータ技術やネットワーク技術、ストレージなどが進化するのに伴い、ハイパーバイザーも新しいハードウェアや標準に対応しなければならない。このため「Windows Server 2012」のリリースとともに登場した「Hyper-V 3.0」には、さまざまな改良が盛り込まれた。本稿ではHyper-Vの重要な改良点に関する疑問に答えたい。

Hyper-V 3.0の仮想ディスクファイルはHyper-Vの従来版とどう違うのか?

 VMはサーバのメモリ上で動作するが、Hyper-VのVMは仮想HDD(VHD)フォーマットを使用し、エンタープライズストレージサブシステムのLUN(論理ユニット)上に保存・保護される。従来版のHyper-V(Windows Server 2008 R2に含まれていたバージョンなど)では、VHDのサイズはダイナミックおよび差分のVHDボリュームともに2Tバイトという制限があった。Hyper-V 3.0では、最大サイズが64Tバイトに拡張された新しい「VHDX」フォーマットが導入され、データベースや電子メールシステムといった巨大なVMを保存することが可能になった(関連記事:Hyper-V 3.0の新ファイル形式「VHDX」の基礎知識)。ほとんどの企業は当面、これほど巨大なVMボリュームを必要とするとは思えないため、今回のアップデートによって、VMのサイズが今後さらに拡大を続けたとしても、しばらくは大丈夫だろう。

 VMデータの消失や破損の可能性も、IT管理者にとって重大な不安要素である。VHDXフォーマットでは、VHDXボリュームへの変更をメタデータとしてログに記録するようになっている。このボリュームに問題が生じても、従来のリカバリプロセスよりも簡単にディスクを元の状態に復元できる。

 VHDXフォーマットの採用に伴い、Hyper-V 3.0によるVHDXのディスクスペースの使用方法にも重要な変更が加えられた。例えば、HDDの容量が増えればディスククラスタのサイズも拡大するが、これはパフォーマンスと物理ストレージスペースの利用効率の低下につながる。VHDXでは仮想クラスタを4Kバイト単位で管理できるので、ストレージのパフォーマンスおよびディスクスペースの利用効率が高まる。

Hyper-V 3.0は従来版よりも自動化機能が改善されているのか?

 仮想環境が拡大するのに伴い、自動化機能の重要性が高まり、物理システムと仮想ワークロードの関係の抽象化がさらに進んでいる。Hyper-V 3.0では、Windows PowerShellスクリプティング用に140個以上のHyper-Vコマンドレットが導入された。このため、IT管理者はWindows Management Instrumentation(WMI)インタフェースに習熟していなくても、コマンドレットを使ってVMとVHDXファイルを管理することができる。

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