ウォール街で偏愛されるAmazonのパラドックス 業績が悪化しても株価は高騰:AWSが頂点に立つまでの10年を振り返る
Amazon Web Services(AWS)が登場して10年がたった。当初は誰も予想しなかったが、AWSの成長は目覚ましく、将来はAmazon.comの売上高をしのぐと予測するアナリストもいる。AWSの魅力とその舞台裏に迫る。
約10年前、「Amazon Web Services」(AWS)は米Amazon.comの社内のホワイトボードに書かれた単なるアイデアに過ぎなかった。それが今や、IaaS(Infrastructure as a Service)界のトップに立ち、フランク・シナトラの歌のように「頂点に上り詰め、王者となった」。
Amazonが同社初のWebサービスとして「Simple Queue Service」というメッセージキュー管理サービスの提供を始めたのは2004年11月だが、ビジネスとして正式にAWSを開始したのは2006年になってからのことだ。それから8年後の現在、Amazonのクラウドサービスには、コンピューティング、データベース、ネットワーク、決済、ストレージ、アプリケーションなどさまざまなサービスがそろっている。AWSの顧客は190か国以上の数十万に及び、世界各地の10地域にデータセンターを開設している。
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AWSの顧客は米航空宇宙局(NASA)、フィンランドのNokia、米Pfizer、米Pinterest、米Dropbox、米Dow Jonesなど多岐に及ぶ。2012年の米大統領選では、再選を目指すバラク・オバマ大統領の選挙運動でAmazonのクラウドサービスが活用され、最近では米中央情報局(CIA)との契約も獲得した。米Netflixは、自社のビジネスがAmazonと真っ向から競合する動画配信サービスであるにもかかわらず、実質的に全業務をAWSで運営している。Amazonは2012年4月、他のベンダーから提供される1100点余りのAWS関連ソフトウェア製品を販売するオンラインストア「AWS Marketplace」も開始した。
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