仮想化、拠点間フル冗長化、フェイルオーバー安全神話のウソ:重要度別データ保護のススメ
ベンダーのセールストークを真っ向否定する論客として知られるトイゴ氏が、今回もベンダーを痛烈に批判しつつ災害復旧のあるべき姿を伝授する。
ソフトウェア定義データセンター(SDDC:Software-Defined Datacenter)が注目を集めるにつれて、SDDCがあれば災害復旧(DR)対策は不要になる、あるいはクラスタリングや高可用性がDRの代わりになるといった説が聞こえてくるようになった。
DRをテーマとするセミナー「TechTarget Storage Decisions」が2014年4月にロンドンで開催され、講師を務めたジョン・トイゴ氏(訳注)は参加者にこんなメッセージを伝えた。
訳注:トイゴ氏は本誌「10月23日号:ギガビット無線LAN徹底解剖」掲載の「ベンダーに惑わされない障害復旧計画の立案」でも歯に衣着せぬ自説を展開している。
米コンサルティング会社Toigo Partners InternationalのCEO兼社長であり、データ管理の専門家の育成機関である米Data Management Instituteの会長でもあるトイゴ氏によると、SDDCは往年のメインフレームに近いという。
SDDCに関する神話
トイゴ氏はSDDCを推進する人々の主張に対して、SDDCが目指している効果はまだ実現されていないし、仮想化はしばしば問題を解決するどころか新たな問題を発生させていると酷評している。
「米IBMのメインフレームが主流だった時代の再来を夢見る人々がいる。ただしそれをIBMのハードウェアではなくVMware(を利用した仮想化)で実現しようとしている」と同氏は語る。同氏はそんなサプライヤーがふれ回っている「ウソ」のうち主なものとして、以下の3つを挙げた。
- 仮想化によってインフラの問題は全て解決する
- クラスタリングと高可用性があれば、DRはもはや不要になる
- サプライヤーは顧客の利益を最優先して活動している。たとえその活動が結果的に、SDDC方式でなければ実現できない固有の価値を損ねることにつながったとしても
「私が利用するシステムのインフラを定義していたのは、昔からずっとソフトウェアだった」とトイゴ氏は指摘する。「そうでなかったことが過去にあっただろうか」
「現在、演算パワー、ネットワーク、ストレージ容量のプールはあるが、これらを自動化して管理する必要がある。また、従来のデータセンター向けに米国国立標準技術研究所(NIST)が定義したサービスモデルではデリバリー層に含まれていた機能と同じものが全て、現在のSDDCでは仮想化ソフトウェア管理層にある」と同氏は説明する。
ソフトウェア定義がストレージとネットワークに破壊をもたらす
トイゴ氏によると、仮想化に付随して起こる連鎖反応の中で主なものは、ストレージとネットワークに対する破壊だという。
「SDDCは、そのベースとなるインフラを変えることはない」と同氏は語る。「SDDCを使うと、われわれがインフラを(直接)管理するスキルの必要性が単純に下がる。ハードウェアは基盤となるものだが、その監視にもう注意を払うことはない。仮想化のエコシステムは、(米VMwareの仮想化製品である)VMwareが作り出す問題を解決するところから出発している」
トイゴ氏はVMwareの問題の例として、省電力とサーバ稼働率の向上の問題を挙げる。ストレージ容量のために想定外のコストが掛かったり、I/Oパスの競合またはネットワークやストレージファブリックの混雑が増えたりすることだ。
また同氏はVMwareのVirtual SAN(VSAN)機能に関しても苦言を呈している。
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