IBMのMDM製品でAppleのVPP利用が容易に
やはり大ニュース、米Appleと米IBMの「iOS提携」でアプリ購入がこう変わる
米IBMは、米Appleとの協業の成果としてMDM製品の強化に乗り出す。Appleの「iOS」端末向けのアプリ一括購入を簡略化したいと考えているIT担当者は、状況を改善できそうだ。
米IBMは、米Appleの法人向けアプリケーション一括購入プログラム「Volume Purchase Program」(VPP)を使ってiOSアプリを購入するIT担当者の手間を軽減すべく、モバイルデバイス管理(MDM)製品「IBM MaaS360」の機能を強化する方針だ。
大量のライセンスを一括購入するIT管理者は、購入に向けて社内環境を整えるという課題だけでなく、ライセンスの配布や全社規模でのアプリの更新といった問題にも対処しなければならない。
IBM傘下の米Fiberlink Communicationsでカスタマープラットフォームサービス担当上級副社長を務めるジム・ザフランスキ氏によれば、IBMはMDM機能と一括購入管理機能を統合し、アプリ一括購入のプロセスを簡略化する方針だという。同氏はそれ以上の詳細については明らかにしなかったが、IBMとAppleの業務提携による製品が近く発表される可能性を示唆している。
IBMとApple提携がもたらす成果
AppleのVPPを使ってアプリを一括購入する場合、企業は引き換えコードを受け取り、Webポータルやメール、MDM製品などを使って、そのコードをユーザーへ配布する。
「IBMとAppleの業務提携によって、IBMのMaaS360とAppleのデータベースの連係が可能になれば、IT管理者の負担は軽減される」と、米調査会社Gartnerの調査担当ディレクター、クリス・シルバ氏は指摘する。
IBMとAppleは2014年7月に企業のモバイル活用の分野で提携し、各業界に特化した100種類に及ぶアプリを提供するとともに、IBMのクラウドサービスをiOS端末用に最適化して提供する計画を明らかにした。さらにIBMは、自社の販売チャネルでAppleの「iPhone」と「iPad」を販売できるようになった。
現在、顧客がAppleのVPPから購入したアプリは、IT部門の管理下に置かれている「監視モード」のiOS端末へダウンロードできる。iOS端末を監視モードに設定するには、iOS端末管理ツール「Apple Configurator」を使って監視モードに設定する、エンタープライズモバイル管理(EMM)/MDM製品を使ってロックダウン(特定用途にだけ利用できるようにすること)するなどの方法がある。
ベンダーはライセンスの配布やアプリの展開で企業のIT担当者を支援すべく、一括購入プログラムの改良に取り組んでいる。Gartnerのシルバ氏によれば、Appleも大企業が同社のアプリストア「App Store」経由でアプリを購入できるよう、VPPに改良を重ね、改善しているという。
「ライセンスの管理や追跡にはMDM製品が最も適している」と、シルバ氏は語る。MDM/EMMの分野には、MaaS360の他、米VMware傘下の米AirWatch、米MobileIron、米Microsoftの「Mobility Enterprise Suite」など多くの競合が存在する。
「ユーザーの私物端末でビジネスアプリを使う場合でも、その端末にアプリをプロビジョニングしているからには、やはり端末の管理が必要だ」と、米調査会社Directions on Microsoftでリサーチ担当副社長を務めるウェス・ミラー氏は指摘する。
ミラー氏によれば、IT担当者が私物端末の業務利用(BYOD)の新しい世界に適応するためには、Windows端末とポリシーをどう管理してきたかに立ち戻る必要があるという。「これはMDMベンダーが担うべき分野だ」というのが、同氏の考えだ。
社内に多数のiOS端末を導入している企業にとって、IBMによる追加のサポートは有益なものとなるはずだ。米ニュージャージー州ハドンフィールドに本拠を置く特別支援学校運営のBancroftはIBMと協力し、300種類の教育アプリと臨床アプリをiPadに導入した。Bancroftは約300台のiPadを登録しており、その全てをMaaS360で管理している。
BancroftのIT担当副社長フィナ・ナッシュ氏は次のように語る。「導入時の最大の難題は、Appleのアプリストアの一括購入プログラムをどう設定するかだった。Appleはまだこのプログラムの提供を始めたばかりだったので、アプリの使用中止など各種の方法が全て考慮されているわけではなかった」
アプリを適切に管理できるようになるまで、Bancroftはさまざまな問題に対処しなければならなかったという。「当初は、アプリのバウチャー(引換券)をどのようにリクエストしてどのように配布するかといった手順がはっきりと定まっておらず、作業が合理化するまでにしばらく時間がかかった」と、ナッシュ氏は語る。
Appleはビジネス向けと教育機関向けにVPPを提供している。Appleは現在、教育機関向けのVPPを改良中だ。「多数の端末の管理方法を決定したり、ライセンスが正しく割り当てられているかを確認したりなど、多くの学校が同じ課題に直面しているからだ」(ナッシュ氏)
導入先ごとに最善の策を知るためには、IT担当者やベンダーはこうした問題を解決する必要がある。
Bancroftのモバイル対応
Bancroftにとって、iPadの導入は簡単な取り組みではなかった。多数のアプリを管理し、新しい無線技術を導入する必要があったからだ。例えば、教員が教室でモバイル技術を活用するためには、iPadだけでなく電子黒板やChrome OS搭載のノートPC「Chromebook」など各種のデバイスを無線LANへ接続できるようにしなければならなかった。
そこでBancroftは、米無線LANベンダーAerohive Networksの技術を導入した。Aerohive Networksは、無線LANコントローラーをユーザー組織の拠点に設置する必要がない、クラウドベースの無線LAN基盤を提供している。
「われわれには1~2年以内にクラウドへ移行するロードマップがあり、Aerohiveが最有力候補だった。オンプレミスインフラは管理したくない」と、ナッシュ氏は語る。
Bancroftはメール、カレンダー、オフィスアプリケーションに関しては、1年前に米Googleのオンラインオフィススイート「Google Apps」への移行に着手した。同校は今も、一部のローカルデバイスに残る「Microsoft Office」をGoogle Appsへ移行する作業を進めている。
BancroftはクライアントPCをChromebookにリプレースしてiPadと共存させたい考えだ。ナッシュ氏はBYODの動きには反対ではなく、BancroftはiPadの他、Android端末と米Amazon.comの「Kindle」も管理している。
アプリの一括購入は頭痛の種になり得るが、アプリやOSの更新も、IT部門が取り組むべき問題の1つだ。ベンダーはより短いスパンで次々とアップデートをリリースするようになってきている。
「現実的には、iPadはコンシューマー向け端末であり、責任者はユーザーだ。ユーザーが最新OSへアップデートするのを阻止することはできない。MDMベンダーは最新のプロビジョニングプロファイルを使って常に最新の状態を保つ必要がある」と、前出IBMのザフランスキ氏は指摘する。
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