気になるツイート……サイバー攻撃の可能性は?
その日何が? ニューヨーク証券取引所“3時間システム停止の謎”を追う(1/2 ページ)
ニューヨーク証券取引所で先頃発生したシステム障害は、ゲートウェイのソフトウェアを更新した際の設定の不備が原因と発表された。これは自動化によって防げることだ。
米ニューヨーク証券取引所(以下、NYSE)、米航空会社United Airlines、米紙Wall Street Journalは2015年7月8日(米国時間、以下同)、いずれもトラブル対応に追われた。広く報じられたように、相次いでシステム障害に見舞われたからだ。
システム障害が最も長引いたのはNYSEで、4時間近くにわたってシステムが停止した。NYSEはWebサイトの「Market Status History(市場ステータス履歴)」ページで障害後に発表した報告の中で、「ゲートウェイのソフトウェア更新がきっかけでシステム障害が発生した」と説明した。ソフトウェア更新は、7月11日に予定していたSIP(Session Initiation Protocol)タイムスタンプの今後の要件に関する業界テストに備えて行われたという。
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障害に強いシステム構築に求められること
7月8日午前7時ごろ、異変を発見
異変が最初に発見されたのは、7月8日午前7時ごろ。顧客ゲートウェイと取引用のシステム(トレーディングユニット)の間の通信に問題が発生し、その発端は新しいソフトウェアの導入だったことが分かった。
「NYSEとNYSE MKT(NYSEの小規模企業向け取引所)の顧客ゲートウェイに、新しいソフトウェアと互換性のある適切な設定がロードされていないことが問題の原因と判断された」と、NYSEは報告している。
この判断から、7月8日午前9時30分に市場が開く前に、ゲートウェイに適正なバージョンのソフトウェアが導入された。しかし、午前11時9分までに「ゲートウェイとトレーディングユニットの間の通信にさらなる問題が発生」し、午前11時32分までに「取引が停止」された。市場は午後3時10分に再開した。
「7月8日のNYSEの取引停止は大きな教訓」になると、クラウドサービス事業者の米10th Magnitudeのアレックス・ブラウンCEO(最高経営責任者)は語る。
「設定管理プロセスから人手の介在を排除していかなければならない」と同氏は述べ、米Chef Softwareの「Chef」のようなツールが設定管理の自動化に役立つと付け加える。
NYSEのケースでは、更新ソフトウェアをゲートウェイに導入した段階でエラーが発生した。テストから本番まで同じ設定を使用していれば、エラーは未然に防止できていた可能性があると、ブラウン氏は指摘する。IT担当者にとって重要なことは、テスト段階で手作業による設定ミスが起こらないようにすることだという。
「このケースでは、明らかに本番環境ではテスト環境と違う設定が使われていた」(ブラウン氏)
新しいソフトウェアを導入したプラットフォームで取引が開始されていなければ、ソフトウェアを前のバージョンに簡単にロールバックできただろう。
しかし、取引が始まっていたため、NYSEの担当者は厄介な状況に陥ったと、ブラウン氏は説明する。ソフトウェア更新をロールバックする場合は、多くの取引をキャンセルすることが必要になる可能性があったからだ。
再発防止に必要なこと
データセンター事業者の米LifeLine Data Centersの共同オーナーで最高コンプライアンス責任者を務めるリッチ・バンタ氏は、今回の障害の続発を機に、信頼性やセキュリティがあらためて注目されるだろうと語る。
NYSEのシステムは、極めて高いパフォーマンスを提供できるように構築されている。だが、ある要素(パフォーマンス、信頼性、セキュリティなど)を追求したシステムでは、他の要素がおろそかになりがちだ。
「パフォーマンスは常に、何かを犠牲にして実現される」(バンタ氏)
NYSEは公式には、7月8日のシステムトラブルはサイバー攻撃によるものではないと表明している。だがバンタ氏は、NYSEのシステムがハッキングされた可能性は排除できないとの見方を示す。その1つの理由は、ハッキング集団「Anonymous」とつながりのあるアカウントが前日の夜に、次のような不吉なツイートを投稿していたことだという。「明日のウォール街はひどいことになるかな……そう願うばかりだ」
バンタ氏は、7月8日の3件の障害のうち2件は、ウォール街における重要な組織で発生したと指摘し、こう語る。「サイバー攻撃は、備えなければならない技術的な問題だ。ただし、私は個人的には、これらがハッカーの仕業だとは思わない」
どの企業もデータのスナップショットを保持し、早業でデータをリストアできなければならないと、バンタ氏は語る。
「明らかにNYSEのIT担当者は、こうしたトラブルに対処する準備が整っていなかった」(同氏)
ダウンタイムが3時間以上に及んだのは、担当者が問題とその原因を特定するのに手間取ったからだと、バンタ氏は見る。
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