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SSDを柱にハード最適化を目指す「SQL Server SSD Appliance」が存在する意味SQL Server 2005のEOSも目前に控える(2/2 ページ)

処理性能を高め、導入コストを抑える工夫を凝らした「Microsoft SQL Server SSD Appliance」。この製品はどのようなものか。また、今後のロードマップとは。

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“うたい文句”と“現実”をPoCサービスで確かめる

 IT部門サイドとすれば処理が高速で安価であっても、使い勝手が低くては導入に及び腰とならざるを得ない。そこで注目されるのが、SQL Server SSD Applianceでは面倒なチューニングが不要な点をうたっていること。これは果たして本当なのか。

 「当社の経験では、翌朝の業務時間に差し掛かかる夜間バッチ処理を、チューニングすることなく50分で完了できている。製品の検討に当たり、ユーザーとして疑問が湧くことは承知している。だからこそパートナー各社との協業による無料のPoC(概念実証)サービスを用意した。実際に使い勝手を試すことで、使えるか否かを前向きに判断してほしい」(北川氏)

 一方で、DBMSは製品ごとに向き不向きの用途がある。オンライン処理を得意とする製品もあれば、非定型分析に向き、定型分析ではチューニングによる性能向上を見込めにくい製品もある。対して、SQL Server SSD Applianceはワークロードを問わないことも特徴。これも、フラッシュの採用を柱とする最適化の成果なのだという。

 北川氏はSQL Server SSD Applianceの普及の伸び代はまだ十分にあると見る。米調査会社Gartnerの調査でも、Microsoft製品がオペレーショナルDBMS製品としてリーダーのポジションを獲得。管理ツールの「Management Studio」や開発ツールの「SQL Server Data Tools」はもちろん、データ活用に向け、SQL Serverの全機能を追加のオプション契約なく利用できることもユーザーへの訴求点となる。

 ただし、クラウドの普及を背景にデータ処理を外部に切り出すことも現実的な選択肢となる。そこで、あえてアプライアンスを選択する必要があるのかは悩みどころだろう。だが、データ活用が進むことで、逆に自社で完結した作業の必要性が増すというのが北川氏の考えである。

 「情報活用が深化すれば、より個人に密に関連した情報を扱う機会が増えるはず。それらの厳格な管理が企業には求められるが、セキュリティを考慮すれば自社内での作業が最も安心でき、管理体制面の説明もしやすい。もちろん、データの種類は幾つもあり、顧客に直接結び付かないものもあるだろう。それらは、クラウドでの処理も十分にあり得る」

 SQL ServerはMicrosoft Azureで提供され、Amazon Wed Serviceといったクラウドでも利用できる。各社で異なるニーズを多様な実行基盤で取り込むというのが日本マイクロソフトの今後の道筋である。

PoCサービス無償提供パートナー
企業名 サービス名
デル Dell-SQL Server SSD Appliance検証プログラム、Dellデータベース無償アセスメントサービス
東芝 SQL Server SSD Appliance PoC支援サービス、ストレージアセスメントサービス
日本ヒューレット・パッカード SQL Server SSD Appliance検証支援サービス
日本ユニシス SQL Server効率診断サービス
日立製作所 DB高速化ソリューション for SQL Server SSD Appliance
富士通 無償アセスメントサービス、無償PoC検証サービス
インサイトテクノロジー 無償PoC(Insight Qube for SQL Server)

目前に控えるSQL Server 2005のEOS

 この数年の間に、Microsoft製品のEOS(エンドオブサポート、サポート期間の終了)対応に追われたITスタッフも多いはずだ。これも、導入率の高さの裏返しだ。そして、SQL Server 2005のEOSも目前に控える。セキュリティ面において対応は必須とされる。

 今回のEOSは「Windows XP」「Windows Server 2003」とは状況が少々異なる。両者は利用に当たって外部ネットワークへの接続を前提とする。対して、DBを外部ネットワークと接続するケースは、外部Webサーバとの接続を意図したことを除けば少ない。また、データの重要さが増す中で、その管理を担う担当者が自社DBのEOSに気付かない率は極めて低い。

 「DBMSのバージョンや格納するデータの量や種類、その利用頻度までIT担当者は自社業務だけに精通しており、多くが対応策の事前検討を進めている。パートナー企業との協業によるアプライアンス側の対応を進めているが、EOSへの冷静な対応が進むだろう」(北川氏)

 ただ、ここで問題となるのが、自社がEOS対応に迫られていることに気付かないケースだ。各種システムの処理を何が担っているのか。それが実はSQL Serverだった場合にどう対処すべきか。ネットワークが完全に遮断されていれば、EOSの影響も低いが、サイバー攻撃は巧妙さを増す一方だ。

 現実問題として、現状、EOSに気付いていない企業は、ベンダーからの対応策を待つ以外に手はない。社内システムを調査し、導入が判明したとしても、独自に手を加えた場合の不具合は補償されにくい。現場業務がシステムに手を加えて事で発生した不具合により遅滞した場合の責任も負う必要がある。

 こうした中、日本マイクロソフトは開発元として対応に動いている。パートナーとの連携による周知活動もその一環である。また、最新版の「SQL Server 2016」では、機能がさらに強化される計画だ。フラッシュの搭載を基に、リアルタイムでの検索や分析を実現すべくエンジンも見直した。統計解析用ソフトウェア「R」を取り込み、分析のひな型の利用環境も整えた。クラウド版も提供するもようだ。

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