教育機関iPad活用お悩み相談【後編】
小学生には「iPad Pro」より「iPad mini」? iPad導入のプロが教える選定のコツ(1/2 ページ)
iPad導入を決断した教育機関は、多様な機種やモデルの中から何をどう選べばよいのか。運用時のノウハウとは。iPad4000台の納入実績を持つスペシャリストに聞く。
前編「iPad導入校が悩む『5大トラブル』とは? 学校導入4000台のプロが明かす」では、米Appleのタブレット「iPad」を教育機関に計4000台導入した教育産業の山口氏の話を基に、米Appleの「iPad」を導入した教育機関が直面する5つのトラブルと、その解決策を示した。
後編では、画面サイズやストレージ容量まで多様なiPadから適切な機種を選定するポイントと、iPad運用時に知っておくべきノウハウを示す。内容は前編に引き続き、2015年10月30日開催の教育ITイベント「eラーニングアワード2015フォーラム」での山口氏の講演を基にした。
併せて読みたいお薦め記事
桜丘中高、同志社中、古河市が激論 「教育機関iPadセキュリティ/運用管理座談会」
学校が注目する「iPad以外」の選択肢
失敗しない「iPad」選びの3大ポイント
山口氏が機種選定時に考慮すべきポイントとして挙げるのは、以下の3つだ。これ以外にも無線LAN接続のみの「Wi-Fiモデル」にするか、携帯電話回線による通信も可能な「Wi-Fi + Cellularモデル」にするかといったポイントもあるが、今回は特に大半のiPad導入校が悩むポイントに絞った。
- 画面サイズ
- 記憶容量
- 本体色
以下、それぞれのポイントについて詳しく見ていこう。
ポイント1:画面サイズ
iPadの画面サイズは、「iPad mini」の7.9インチ、「iPad Air」の9.7インチ、「iPad Pro」の12.9インチと3種類ある。山口氏は、適切な画面サイズを選ぶポイントとして、端末が机に対してどれくらいの大きさを占めるのか、その占有率を考慮する必要があると説明する(図)。本体の大半を画面が占めるiPadシリーズの場合、画面サイズがほぼそのまま本体サイズに直結する。
例えば小学生であれば、文字が大きく操作しやすい大画面のiPad AirやiPad Proがよいのではないか、と考える人も少なくないだろう。だが机のサイズを考慮すると、コンパクトなiPad miniの方が作業しやすいケースも少なくない。大半の教育機関は、端末と紙の教科書/ノートといった紙教材を併用し、双方を机に置いて利用するからだ。
iPad Proほどの大きさになると、小さい机では端末の他にほとんど物が置けなくなる可能性がある。端末だけを使う機会が多いのか、端末と紙の教科書やノートを組み合わせて活用する機会が多いのかによって、適切な画面サイズを決めることになる。
ポイント2:記憶容量
データの記憶容量も重要な選定ポイントである。山口氏は自身の経験から、iPadを初めて導入する教育機関は、初年度は16GBモデルを選ぶ傾向があると説明する。「本体はできるだけ安い方が家庭の負担も少ない」「初年度だから何ができるか分からない」といった理由が、その背景にあると考えられる。
一方で、導入2年目以降になると、32GB以上(32GBモデルがないiPad Air 2は64GB以上)を選ぶ教育機関が増えると山口氏は話す。学習者は教員の想像以上に写真や動画を大量に撮影するので、容量不足に陥りやすいというのだ。
写真や動画のデータは、動画共有サイトやオンラインストレージといったオンラインサービスだけに残す運用方法を取るのであれば、容量不足に悩まされることは基本的にはない。ただし、端末内にデータがあれば、オフライン環境でも写真や動画などを閲覧できたり、編集が容易にできたりとメリットは多い。
iPadシリーズは、本体にSDカードスロットやUSB端子がなく、外部記憶媒体による容量拡張が難しい。Lighting端子搭載のUSBメモリはあるものの、一般的に他のUSBメモリと比べて価格が高いことがネックとなる。写真や動画の活用を検討しており、端末内にデータを保存する運用方法を考えているのであれば、予算が許す限り大容量のモデルを選択しておいた方がよい。
ポイント3:本体色
機能や使い勝手には直結しないものの、端末選定時に悩む要素が本体色だ。山口氏はiPad導入校での端末設定作業の際、各校が導入したiPadの本体色を調査・集計してきた。その結果、iPadを共用端末として購入する場合は、スペースグレイを単色で選ぶ教育機関が多かったという。
一方、生徒が私物端末として購入する場合は、基本的には学習者各自の好みで本体色を選ぶことになる。ただし、山口氏がある中高一貫校3校の生徒951人の端末本体色を調べた結果からは、一定の傾向が見られることが分かった。
生徒全体ではゴールド(40%)とシルバー(39%)が人気を二分しており、スペースグレイは21%にとどまる(表)。だが男子生徒だけで見るとスペースグレイの選択者が37%に上がり、ゴールドが27%とやや下がる。女子生徒はゴールドの選択者が50%で、スペースグレイはわずか8%だった。
| 対象 | 有効回答数 | ゴールド | シルバー | スペースグレイ |
|---|---|---|---|---|
| 生徒全体 | 951人 | 40% | 39% | 21% |
| 男子生徒 | 428人 | 27% | 36% | 37% |
| 女子生徒 | 523人 | 50% | 42% | 8% |
本調査は中高一貫校3校分のみが対象であり、その結果が全ての教育機関に当てはまるとはいえないが、この調査結果を見る限り、教育機関側で本体色を1色に指定する場合は、男女双方から支持されているシルバーを選ぶのが無難だといえそうだ。一方、共用端末で採用数が多いスペースグレイは、男子生徒が多い場合はよいものの、女子生徒が多い場合はあえて選択する必要はないだろう。
iPadの配布方法にも工夫の余地が
端末選定に加え、iPad導入時に考慮したいポイントが、端末の配布時期だ。山口氏によると、iPad導入校で最も多いのが、3月末に端末をキッティングし、4月の新学期スタートに合わせてiPadを配布するパターンである。次に多いのが、8月末にキッティングして9月に配布するパターンだという。
教育機関の中には、あえて新学期を避けて配布時期を遅らせるケースもある。具体的には、4月までにiPadの購入だけ先に済ませ、製品はいったん教育機関が預かってキッティング作業をして、5月の大型連休(ゴールデンウイーク)開けや6月から運用をスタートするパターンだ。教育機関の中には、教育機関がiPadを預かっている間に、情報モラル(情報社会での適正な活動の基になる考え方・態度)を指導する教育機関もあると山口氏は説明する。
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