MicrosoftができてAppleができていないこと
Appleの「Windows版QuickTime電撃終了」騒動はなぜ起きたのか?(1/2 ページ)
Windows版QuickTimeに2件の欠陥が見つかり、Appleによるサポートが突然終了した。この唐突な動きの背景を解説する。
米国土安全保障省(DHS)とトレンドマイクロは2016年4月、セキュリティアドバイザリを公開し、Appleが提供するWindows向けメディアプレイヤー「QuickTime for Windows」(以下、Windows版QuickTime)のアンインストールを推奨した。2件のゼロデイ脆弱(ぜいじゃく)性が見つかったものの、Appleは既にWindows版QuickTimeのサポートを終了しているとのことだった。
その後Appleは、Windows版QuickTimeのサポート終了を公式サイトで正式に認めた。なぜAppleはこの2件の脆弱性を修正するなり、あるいは少なくともWindows版QuickTimeのサポート終了について事前に通知するなりしなかったのだろうか。Appleのような大手ベンダーにとって、これは一般的なやり方なのだろうか。
ひそかに進んでいたQuickTimeの“終活”
AppleがWindows版QuickTimeのサポートを終了したのは、それほど意外なニュースではなかった。だがユーザーに事前の準備時間を与えるなど、もっとうまいやり方があったのではないだろうか。
QuickTimeは主に動画やオーディオの再生に使われるマルチメディアツールだ。1991年にMac OS版をリリースし、その後にWindows版が登場した。Microsoftが2009年、Windowsで「H.264」「AAC」といった主要メディアフォーマットを再生可能にしたことで、最新のメディアフォーマットの再生にQuickTimeを使う必要性は減った。さらにWebブラウザがプラグインなしで動画を再生できるようになり、Webサイトが動画再生にWeb標準の「HTML5」を採用するようになる中、QuickTimeの人気は徐々に衰えていった。
QuickTimeの終わりの兆しが最初に現れたのは、2011年リリースの「OS X Lion」でマルチメディアフレームワークが「AVFoundation」へ移行したときのことだ。それにしても、Windows版QuickTimeのサポート終了は唐突だった。
トレンドマイクロは2016年4月14日、AppleがWindows版QuickTimeのセキュリティ修正を既に打ち切っていることを明らかにした。トレンドマイクロのネットワークセキュリティ事業部門であるTippingPointがAppleに対し、リモートから任意のコードを実行できるWindows版QuickTimeの2件のゼロデイ脆弱性「ZDI-16-241」「ZDI-16-242」を報告するも、セキュリティ修正プログラムが提供されなかったという。
そこでトレンドマイクロは、これらの脆弱性に関するセキュリティアドバイザリを発表した。これは「開示された脆弱性に対する修正プログラムを開発元が提供しない場合にはその情報を公開する」という、脆弱性発見コミュニティー「Zero Day Initiative」(ZDI)の方針に基づくものだ。
同じく14日、DHS配下の情報セキュリティ対策組織US-CERTはセキュリティ警告「Alert(TA16-105A)」を公開し、Windows版QuickTimeの既知および未知の脆弱性からシステムを保護する唯一確実な方法として、Windows版QuickTimeをアンインストールするようユーザーに呼びかけた。Appleはその1週間後に、Windows版「QuickTime 7」のサポート終了を正式に認めた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー