リモコンは素晴らしいが……
徹底レビュー:GoogleのVRヘッドセット「Daydream View」を使って分かった“可能性と疑問点”(1/2 ページ)
GoogleのVRヘッドセット「Daydream View」は大きな可能性を秘めている。特に同梱のリモコンは優秀だ。だが構造的な問題がVR体験を損ねている。光漏れと、視野角の狭さだ。
モバイルでの仮想現実はデザートのようなものだ。ヘッドセットは比較的安価に利用できる。その原動力となるスマートフォンは、VR機能がなくても主力製品レベルの価格に十分見合う優れた性能を備えている。
Googleの「Google Daydream」プラットフォームもリリース時には、この流れを引き継いでいる。Daydream Viewは、同社の「Android 7.0 Nougat」以降を搭載したハイエンドスマートフォン用の「Google Cardboard 2.0」をベースに、ヘッドセットを改良してVRを洗練させたものだと考えて欲しい。
Daydreamの機能を初めて搭載したスマートフォンはGoogleの「Pixel XL」と「Pixel」だ。また、本稿執筆時点では、Daydreamをサポートするために、Lenovoが「Moto Z」シリーズのOSをAndroid 7.0 Nougatにアップデートしている。このGoogleの2機種に、79ドル(日本での発売は未定)で購入できるヘッドセットのDaydream View、コントローラーを組み合わせれば、初代Daydreamセットが出来上がる。
このデザートはぜいたくで甘いのだろうか。それとも固くて味気ないのだろうか。それを突き止めるために、Pixel XLを使ってDaydream Viewを試してみた。
Daydream Viewの構造とデザイン
Daydream Viewは、布、パッド、プラスチック、ガラスのみで構成された「処理能力のないヘッドセット」だ。配線やセンサーは一切ない。外面は上質な布地で覆われている。そのため、Googleは布地が引っ張られて台無しになることを避けるため、布地と面ファスナーを接触させないよう注意を呼びかけている。両目を覆う位置には十分な厚みのパッドを配置し、後頭部で調整可能な1本のバンドが付いている。レンズはヘッドセットの中央にあり、正面にはスマートフォンの固定に使うヒンジ式のフタを装備している。
このフタはDaydream Viewの上にある「ツメ」と小さなバンドを使って固定されている。また、スマートフォンの保護とDaydreamアプリ起動のために配置されている静電性のゴムバンパーと未使用時のDaydreamリモコンを保持する窪みを覆い隠す役割も兼ねている。
Daydream Viewは手触りがいい。これは、布地で覆われた外装のおかげだ。また、内側のパッドは取り外し可能で手洗いできる。ただし、洗濯機には入れないよう、ご注意いただきたい。それから、軽量で、Googleによれば装着時に息苦しく感じることもないという。この主張には賛同できる。これまでにTechTargetがテストした他のヘッドセットにはレンズが曇るという問題があったが、本稿のレビューに使用したDaydream Viewでは、そのような問題は一度も起こらなかった。
鼻の部分のくぼみにある大きな溝が、レンズの曇りを防いでいる要因だろう。だが、代償もある。この構造はDaydream Viewにおける設計上の最大の欠点になっている。Daydream Viewの装着時に下を見ると、ヘッドセットの外の様子がはっきりと見える。これはVR体験に没入できない原因になるだけではない。光の侵入を許して、その光がレンズに反射する。また、側面の隙間からも光が差し込んでくる。バンドをきつく締めても、Daydream Viewの光漏れを防ぐことはできない。唯一の対策は、頭からフードを被ってひもをしっかりと締めることだ。
この欠陥がいかに劣悪かはどれだけ強調しても足りない。過去にテストしたどのVRヘッドセットにも多少の光漏れはあった。だが、Daydream Viewの光漏れは、その何倍もひどい。
とはいうものの、少なくとも装着感が快適なのは事実である。だが、その快適さは他のヘッドセットと同程度でしかない。例えば、Samsung Electronicsの「Gear VR」はプラスチック製で大きいが、2本のバンドでしっかり固定できる。Gear VRを30分装着しても、Daydream Viewと比較して付け心地が悪くなることはない。実際、TechTargetではGear VRのバンドの方が好ましいと考えている。というのも、一方のバンドを頭上に通すことでヘッドセットを適切な位置で固定できるからだ。これに対して、Daydream Viewは1本のバンドで固定するタイプだ。バンドが緩くなって、ずり落ちたりするため、頻繁に調整が必要になる。
Daydream Viewのパフォーマンスと操作方法
Daydream Viewは非常に簡単に使える。必要な作業は、スマートフォンの電源を入れてヘッドセットにはめ込むだけだ。スマートフォンを固定するとDaydreamが起動する。ただし、Daydreamはスリープ画面やロック画面では起動しないことに留意されたい。また、TechTargetがDaydream Viewヘッドセットのテストに使用したPixel XLは電源ボタンと音量ボタンがある側を上にして取り付ける必要があった。
Daydreamプラットフォームは安定感抜群で、Pixel XLで適切に動作する。Googleは今後Daydreamを実行するスマートフォン向けに最低限必要な仕様を定めている。そのため、Daydreamは、Daydream対応の全スマートフォンで同じように動作する可能性が高いだろう。X軸とY軸上の正確な位置が反映されることはないが、VR酔いを抑えられるくらいには適切に頭の動きに反応する。スマートフォンが全ての処理を実行することを考えると、今後リリースされるAndroidスマートフォンでは改善がさらに進むことが見込まれる。少なくとも、今後リリースされるスマートフォンでは、今回のテストでDaydreamアプリとVRアプリをPixel XLで実行したときほど熱くなることはなく、バッテリー消費も抑えられるようになるだろう。というのも、VRの利用中には発熱がバッテリー消費の主な原因になると考えられているからだ。
良い面を挙げると、Daydream Viewは直感的に操作できる。詳細については後述するが、ワイヤレスのDaydream Viewリモコンで全ての操作が制御可能だ。GoogleはVRを大衆に広めることを目指しており、手軽に使えるヘッドセット、コントローラー、プラットフォームを生み出すことに成功している。
ただし、シンプルさには制約が付いて回る。処理能力がないDaydream Viewには可動部がない。視点を合わせるには、単純にDaydream Viewを顔の前で上下させて調整することになる。TechTargetがレビューに使用したDaydream Viewでは最適な位置を見つけるのに苦労した。また、視界の端では特にぼやけた映像が目立った。
それから、Daydream Viewは視野角が限られている。5.5型のPixel XLでさえ、最新のGear VRの視野角(110度)より狭い。5型のPixelなど、小型のスマートフォンでは視野角がさらに狭くなることが予想される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ -
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
4
生データを隠してデータ連携 KDDIが4000万人の顧客情報を安全に分析できた理由
-
5
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
6
「また同じ説明か」 消費者の半数が離脱するAIチャットbotの“記憶喪失”
-
7
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
9
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
10
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー